到彼岸〔とうひがん〕・妄想MEMO 中欧編への導入妄想
【個人的妄想のメモと気が向いたときの近状記録】 ここはヘルシング同人サイトの2次創作専用のブログです。 妄想の糧やオタの日常を呟いています。 心当たりがないのに、何故か迷い込んでしまった方は、速やかにお帰りくださいませ。
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ちょっと思いついた部分だけメモ。
これはたぶんパラレルに入れます?

珍しいお嬢の一人称。

――――――――――――――――――


サラバンド――あるいは荘厳な三拍子



まだ陽光の名残があたりに漂う、夕星が明るく瞬き始めた刻に、その娘はやって来た。
私の髪とは全く違う明るい熟れた小麦色の髪を、傾いた陽光に照らされながら、その娘ははにかむように笑って、私に挨拶をした。
とても可愛らしい顔つきなのに、やはりこの娘も病的な白皙で、笑う口元から乱杭歯が覗く。
これから訪れる紫紺の夜を愛する魔族の女。
なのに、私はこの娘は嫌悪したことがない。

この娘は稀有な陽光の気質を持った、性根の座った女だと。
この娘は、私に新たなる道標を見つける手掛りを与えてくれるものかも知れないと。

最近、そう思うのだ。
その朗らかに笑うドラキュリーナを、私は眩しそうに目を細めて見つめてから、ゆっくりとソワレの挨拶を返した。








その黄昏時、私は、この屋敷に最も長く使える深いシワを刻んだ庭師と暫くぶりに話をした。
彼は子供の頃に私が仕出かした悪戯を、つい昨日のことのように揶揄し、柔らかく微笑んだ。

「あの悪戯好きの負けん気が強いお嬢様が、このような素晴らしいイングランドの貴婦人になられるとは。」

別に悪戯好きという訳でもなかったが、庭に咲く花々や草木、小さい虫や土くれや石っころというものは、私の好奇心を引くものだったのだ。ちょっとその好奇心が過ぎて、庭師の眉を顰めさせることになった訳だが、それでもその当時の私はひねくれていて素直に謝ることができなかった。
それが、彼の言う「負けん気の強さ」という表現になるらしい。

ものは言いようだな――本当はただの強情で可愛気が無い子供なのにな・・・私は、そう思って心の中で苦く笑う。

私は貴婦人などではないのだ。ただ当主の体面として、そんな振りをしているだけで。
そして恐らく、私は今でも強情だ。
面と向かってそれを指摘する人間は誰一人としていないのだが、「人」の数には数えないあの吸血鬼からは頻繁に「強情な小娘」と言われる所をみると、恐らく皆、屋敷のものも部隊のものも、そう思っているのだろう。

母のいない寂しさ。
任務に忙しい父上。
大好きな父は、私に極力時間を割いて接してくれたのだが、それでも数多の恋人がいる父を、他の女に盗られることへの嫉妬と恐怖が私の中に常にあった。
当時の私は、あまり子供らしくない子供だったのかもしれない。


他愛の無い話をしながら庭師は仕事の始末を終え、帰宅の準備を始める。
退室の挨拶をした彼に、私は鷹揚に頷くと、彼は優しい笑顔を見せて退室前にこう言った。

「この時間は温室の西側にある、つる薔薇がとても綺麗でございますよ。」

私は彼のアドバイスに従い、温室の西側にある大きなアーチへと、その薔薇を見るために足を向けるのだった。







温室にある大きなアーチに美しくからまったつる薔薇のサラバンドが濃い夕日の赤に染め上げられていた。
葉はとても薄いのに艶やかな緑色。
一重の真紅の薔薇は、赤よりも更に濃いゼラニウムレッドだった。

沈み往く夕日の赤に染められたサラバンドは、その光に包まれてひとつひとつが浮かび上がるような眺めを見せていた。

「あぁ、本当に綺麗だ。」

誰もいない温室で私は思わず言の葉を零す。


傾いた陽光の赤に浮かび上がる更に濃い艶やかな紅。
大きなアーチの下には座面が籐で編まれたアイアンの小さなイスがふたつ置いてある。
確かにこのサラバンドを眺めながら、夜族が心待ちにする紫の刻への移り変わりを感じるのも一興だろうと思える美しい眺めだった。

その椅子へと腰を掛けた時、その娘はあまり足音も立てずにおずおずとソワレの挨拶をしにやって来た。
この娘も薔薇の香りとその華やかな精気に惹かれてやってきたのだろう。
主従ともやはり似ている。

いや、吸血鬼とは得てしてそんなものなのかもしれない。


私の静かな夕暮れ時の時間を邪魔しては悪いと思ったのか、その娘はどう行動したらしたらいいのか躊躇していた。
そんな遠慮深い吸血鬼の娘に、私はソワレの挨拶をした返した後、もうひとつの椅子を勧める。

「ありがとうございます。」
その娘は朗らかに笑いながら、その椅子へと腰掛けた。

この娘のような謙虚さと親しみやすさが、あの化け物の男に少しでもあればいいのに・・・と私は一瞬、思っても無駄なことを考えたのだった。

――――――――――――――――――

婦警と旦那のふたりで会話を!と思ったが婦警相手では、旦那はポロとも心情を零さない。
だったら、どうせ、この綺麗どころふたりででイチャイチャさせたれッ!!という、そんなもの。



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