到彼岸〔とうひがん〕・妄想MEMO 女主人と飼い犬
【個人的妄想のメモと気が向いたときの近状記録】 ここはヘルシング同人サイトの2次創作専用のブログです。 妄想の糧やオタの日常を呟いています。 心当たりがないのに、何故か迷い込んでしまった方は、速やかにお帰りくださいませ。
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本日も、拍手を下さった皆様に感謝を〜♪ありがとうございます!!
ここのメンテ後の動作、何時もより安定していて、結構いい具合なのも何よりです。
そして、以下、妄想・・・・(笑)


ヘルOVAを見てたらつい・・・

あまりにもお嬢の肩がいかつくって、どーーみても女じゃねぇ!!みたいな、そんな事を考えながら書いた馬鹿ッ話しです。
単なる馬鹿丸出しな妄想ですので、その点御了解いただけるお心の広い方のみご覧下さい。











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女主人と飼い犬




葉巻をくわえたままハンドルを握っていた女は、前を何やら蛇行しながら走る車に気がついて、少し車間距離をあけた。

こちらの車との間合いを計って、自分の車を停車させるのが目的だろうか。つけられていたか?――と、訝しく思った女は、その車の後輪がパンクしていることに気がついた。

すると、自分の車がパンクしたことに気がつかず、前の車は走っているということになる。

「おい、危ないだろう。」

葉巻をくわえた艶やかな唇の隙間から、低い声を吐き出した女は、クラクションを鳴らした。すると何を思った、フラフラと蛇行しながら、その車はスピードを上げたのだった。

「・・・・・・おいおい」

大事故になる前に止めてやらねばいかんだろうな・・・あぁ〜でも、モタモタしてると、ひとりでフラフラと抜け出した事がウォルターにばれるんだけどなぁ〜〜

任務でも部隊の前でも、そして飼う化け物の前でも、いつもは剛毅で冷徹な女指揮官なのに、根が優しい女はアクセルを踏んでスピードを上げるとその危険極まりない蛇行運転の車を追い抜く。

――随分と若いお嬢さんだ

運転席で、ガッチガチに固まって必死にハンドルを握る運転手を見て、そう思った女も、十分にうら若い妙齢のお嬢さんなのであるが、その貴族のお嬢様である女は口の端に皮肉たっぷりの不敵な笑いを浮かべると、ハンドルをきつく握り締めているその運転手に向けて、車を止めるよう促すのだった。







「―――んんっ??何だって、いや、誰だって??」
ウォルターから告げられた名前を聞いて、全く心当たりのない女は、執務机から顔を上げると、短くなった煙草をもみ消しながら、器用に片眉を上げて、ウォルターにそう尋ねた。

皮肉な笑いや不敵な笑いがこれほど似合う女はロンドンを捜してもそう居ないだろう――と執事はいつも思うのだが、最近こんな風に器用に片眉を上げられる芸当を覚えたのは、あの忌々しい現役ゴミ処理屋の影響ではなかろうか??――と、老執事は考えながら、もう一度その名を主人に確認したのだった。

「いや・・・全く心当たりがないな。姓だったら知ってる奴は何人かいるが。」

告げられた名を聴いて、首を傾げてそう言った女主人に、執事は「では――」と、今言った名前の父親に当たる人物の名を、今度は女主人に告げる。

「知ってるぞ、その男だったら。陸軍だろ?ペンウッド卿から紹介されて、何度か会っている。彼が何かしたのか?先ほど告げた女性の名前と、何か関係があるのか?」
そう首を傾げて、眼鏡の奥の青い瞳に不思議そうな色を浮かべて自分を見る女主人に、執事はちょっと薄く笑った。

「お嬢様、この間なのですが御自分で運転なされて、何も告げずにお出かけした事がありましたでしょう?」

「――あぁ・・・まぁ、あったよな。」
ちょっとした用だったのだが、屋敷の者に知られたくないプライベートな事だったので、黙って出かけたが、結局帰りが遅くなってしまい、屋敷を無断で抜け出たのがバレてしまったのだ。
その時の事を思い出した、女は眉を潜める。

帰る予定だった時間をオーバーし、その一番の咎めを執事から食らったのは、彼女の秘密の外出に加担した車番の男だったのだ。彼には随分と申し訳ないことをしたよな〜〜等と女は一瞬目を泳がせた。


「その時、妙齢の女性をお助けした覚えはございませんか?」

「――あぁ・・・あっ?!あのパンク娘か?!」
そこでようやくインテグラも、執事の言いたかったことが飲み込めたようだった。

「ヘルシング家の当主が自ら、そのお嬢様のタイヤの交換までして下さった事に親子共々御礼を申し上げたいと、お嬢さまが会議の間、中尉殿よりお電話をいただきました。」

「いや、いいって。お礼なんかはいらん。気持ちだけで十分だから――」そう言って手をひらひらと振り、また葉巻を取り上げようとした女主人に執事はこれ以上ない、にこやかな笑顔を作った。


「陸軍での権力者の御好意を無下になさいますのは、ヘルシング家に取りまして利益にはなりますまい、お嬢様。大層熱心なご様子でお茶の席へとお誘いを頂いておりますので、ここは是非、当家と当機関の利益を御考慮されるのが宜しいかと。それにあちら様には、複数の未婚の御子息もいらっしゃいますし。」


――こいつ・・・私に婿探しをしろと、そう言うことなのだな・・・


一瞬、主従の間に火花が散るほどの鋭い視線が交差したが、ウォルターが相変わらず口元に笑いを刻んだまま、言葉を重ねる。

「そう言えばこの間の外出なのですが、機関の長たるお嬢様が外出の用件も言うことなく、黙って消えるが如くお姿を消す―――」

もう、その件に関して突っ込まれたくなかった女は、片方の口の端を持ち上げて不快さたっぷりの表情を見せると、執事の話をさえぎった。

「わかった、ウォルター。御礼の件は受けよう。茶会の詳細を後で伝えてくれ。それから、その支度も任せる。」
そう低い声で呟くように言うと、手にとってくるくると弄んでいた葉巻の先をカットした。

「かしこまりました、お嬢様」と深く礼をとったその屈んだ顔に、満面の笑みを浮かべた執事。

だが、「あぁー、ウォルター。茶会の席では、スカートとかワンピースは絶対に着ないからな。ジャケットにトゥラザースで行くと、メイド頭には伝えておいてくれ」と、女がふんっと鼻を鳴らして吐き出したその言葉に、老執事はチッと腹の中で舌打ちをして、面を下げたまま、器用に片眉を上げたのだった。







「よく嗅ぎつけたな、この化け物。」
いくら薄曇の天気だとは言え、まだまだ陽が高いこの時間に、化け物が闊歩する不条理をこの化け物は知らんのだろうか!と、女は眉を顰めて、従僕の白皙を睨みつけた。

開けてもらった車のドアの先にはすでにこの男が待ち構えていたのだ。

先に車に乗って待っていた従僕を、運転手は顔を引きつらせながら見て見ぬ振りをしている。
そう、いくらマチネ色のサングラスをして鍔広帽をかぶっているとは言え、こんな赤い瞳を有する魔眼の持ち主を、それも魔がしい狂暴な気配を隠した巨躯の男に、顔を向けることも、目を合わせることも、普通の人間は嫌うし、なかなか出来るものではない。

広い車内にも関わらず、この大きな男が座るだけで圧迫感が10割り増しだと思いながら、女は嫌味たっぷりな顔を作って男を睨んだ。


「下りろ、従僕。」


「主人の護衛は従僕の最大の務めだと思うがね、我が主。」


「護衛は別につけてる。それに、お前が出なければならんような危険な場所じゃない。」


「私の方がスマートに護衛出来るだろうが。姿を出すなとお前が命令するなら、隠れてやっていてもいい、インテグラ」


「・・・・・・隠れてやっていてもいいって、お前ッ――それが主人に対する言い草か、この馬鹿野郎!」


昼日中に現れて主人を待っていた規格外の威容の魔物と、怖れることもなく押し問答をしている女主人を、屋敷の者は顔を伏せ、それを見ないようにしながら顔を青くさせている。
あんな巨躯を誇る、狂暴な気配を隠した、冷酷な化け物と対等に渡り合う我が主人とはいったい・・・――と、屋敷の者たちは、自分が仕える主人を皆、畏怖するのだ。


「何やら最近お前は、こそこそと何か隠れて外出したがるからな。一体全体、何をそんなに秘密にしたいことがあるのやら、じっくり訊いてみたいものだな、我が主。そうだ、では、私は屋敷で待っているから、今晩辺り、ゆっくりとその外出先の―――」


「ええいっ、わかった!!今日の護衛はお前だ、この吸血鬼!!」


従ってきた護衛を下がらせると、女はさっさと車に乗り込んだ。

――その外出先とやらを聴かせてもらおう。お前は強情だからな。口で言っても分からない時は、褥で躰に訊いた方が早いだろう。お前は、存外に躰の方が正直だからな――

この男がその言葉の先をどういう風に続けるのか分かりきっている女は、屋敷の者が居る前で、冗談でもそんなことを口に出されてはたまらないと早々に車に乗り込んだ。
こんな化け物を従える主人なのだ。下僕の化け物とそんな関係にあっても何ら不思議はなかろう――と屋敷の者から思われたら敵わんと、女は眉間にシワを刻み腕を組んで、怒った顔のまま車の背凭れにふんぞり返ると、眼鏡の奥の瞳を憤怒の激情に輝かせて、男を射殺すような青の視線で睨んだ。

そんな怒り心頭の女の硬質なブルーの瞳を見ながら、男はニィっと妖しくて綺麗な笑いを作る。

普段のドレスシャツにタイを絞めた女指揮官の姿に比べ、大分色気を増した、胸元のなめらかな肌が露出するその姿をサングラスの奥で目を微笑の形に変えて眺めた男は、その隣に自分もゆったりと背を預けて、茶会へのお供をするのだった。






茶も軽食も、そして菓子も、とても口に合うとインテグラは珍しく笑って、持て成してくれたその家の当主夫婦に礼を述べた。
仕事場で会う時は、何か得体の知れないものを隠す油断ならない人物だと評価していた男だったが、家庭では存外に善い父親振りを発揮していて、その落差にインテグラは一瞬目を見張ったが、本当は男と云うのはこのようなものなのだろう――と、敵地に乗り込むようにいからせていた肩から力を抜いた。

仕事と家庭とに境界を作り、そのボーダーを越えるときには持っている顔を切り替えするのがきっと普通なのだろう。自分のように外でも屋敷でも機関でも、全て同じ顔を持つというのは、やはりまともではないのかもしれない・・・と、インテグラは自嘲の笑みを密かに浮かべた。

自分は何処にいても気が抜けないのだ。
何せ外でも内でも、常に化け物と対峙しなければならないのだから・・・と、今は自分の影か、どこか居心地のいい場所を探してかくれているであろう、秀麗な顔をした残忍無比な化け物の事を思い出す。

婦人の手作りと云うスコーンに、庭で取れた果実を使ったジャムなど、決して華美ではないのに心が篭った持て成しに満足したらしいヘルシングの女当主を見ていたその家の娘は、自分が手入れもしている庭を是非案内したいと申し出た。
インテグラはその申し出に角を立てないよう、それなりに付き合ってやるかと、女に手を引かれて典型的なイングリッシュガーデンへと、散策の足を踏み出したのだった。




ランブリング・レクターの白い花が王冠のようにその屋根を覆う東屋まで来たインテグラは、随分と馴れ馴れしい態度のその娘に、ちょっと辟易していたが、引かれていた手をようやく離してもらうと、内心ほっとして、そのベンチに腰を下ろした。

年頃のその娘は、典型的なアングロサクソンの容貌に、インテグラと同じ青い瞳をしていたが、その顔つきも体つきも、女指揮官とは違う、まろみを帯びた女らしいものだった。
少し小悪魔的な可愛らしい目元が、綺麗に整った顔にアクセントを与え、何か人を惹き込むような魅力があるその表情は、言うことを聴いてあげたくなるような、愛らしいのに艶かしさが含まれたものだった。


父に貴女のことを詳しく聴くまで、ずっと男の人だと思ってました――と、その女は笑いながらそう言った。

容貌も凛々しくてあられるし、この前、車を直してくれた手際も見事でしたし。それに冷酷ではないけど人を寄せ付けない鋭利な感じも持っていらっしゃる。そして、サーの称号をお持ちなんでしょ?
ヘルシング卿と呼ばれていて、騎士でいらっしゃるとも言うし、父とは仕事でお会いしているという話しだったので、実は今日まで当然男性かと思ってたんですよ。

そんな風に少し照れたように言って笑う女は、確かに可愛らしかった。


「では、私が男でなくって残念だったとか?」

「いえ、そんなことは。正直、かえって喜ばしいです。ヘルシング卿が女性でよかったわ。」

そう言って笑った女の顔は、ちょっと妖しさを含んだ微笑だった。
その笑みに、『よかったのか、女で?』と、頭の隅で考えながら、インテグラはその女の顔をまじまじと見つめた。

こんな清純さと妖しさを両方持ち合わせる女は、きっと従僕の好物なんだろうな・・・と、その女らしい容貌を見ながら、インテグラは無造作に懐の葉巻に手を伸ばしたが、さすがに手入れされた他人の屋敷で、それも妙齢の女性を前にそれを吸うのは不味かろうと手を止める。
だが、相手の女性は「葉巻でしたら、どうぞお構いなく。ついでのお願いで申し訳ないのですが――」と、インテグラの葉巻を自分も吸いたいと強請ったのだった。



「こちらはセントオーバンスにある英国王立バラ協会の庭を模してるんですね。」

「そうっ!お分かりになる?あそこのランブリングレクターが、私、大好きなの!」

妙齢の女二人煙草をふかしながら、手入れされた庭園の話をしていたが、さすがにそろそろ自分の屋敷に帰りたいと、インテグラが葉巻をもみ消して携帯していた灰皿に入れながらベンチから立ち上がると、その手を女が引っ張った。

そして、何事かと訝しく振り向いて屈んだインテグラの唇に、自分の熱いほどの熱を持った薄い唇を押し当てたのだった。


「―――んんっーーーうっ?!」

突然の暴挙に、女の身体を押し飛ばしたインテグラの顔を見て、キスをした張本人は首を傾げた。


「同性からのキスはお嫌い?慣れていらっしゃるかと思ったんだけど。」
普段は鋼鉄のような冷たい凍った顔をしている女が、あまりのことに頬を赤らめて仰天している様子を見て、女は楽しげに笑い声を上げた。

「普段の冷たいお顔の影には、随分と初心なお心を持っていらっしゃるのね。」
その女指揮官のギャップを愉しむように、立ち上がった女が葉巻をレンガの床に落とし、つま先でもみ消す。
そしてさらに、接吻しようとしたが、インテグラは眦を吊り上げてその女の身体を押しのけた。

すると、「私の事はお嫌いですか、ヘルシング卿?」と、目尻に涙を溜めて、うるうるとした顔を見せた女に、またもやインテグラは混乱した。

女だてらに指揮官の長だと?!生意気だ!傲慢だと!自分を見下して雌犬扱いしようとする男共にはいくらでも冷徹になれるのだが、こんな風に涙を浮かべて自分をすがるように見つめる可愛らしい女をどう扱っていいのか、インテグラは知らない。


「・・・・・・いや、嫌いだとか、好きだとか、そう言う次元ではなくて。私は同性と接吻するような趣味は――」

そう言ったインテグラに、「好きでも嫌いでもなければ試してご覧になるものです。私は貴女がとても気に入ったの!大好きです!女同士の方が色々と愉しいものですよ!!」等と、インテグラの理解の範疇を超える単語を色々と並べて、うるうるとした瞳で詰め寄る女に、どうしたらいいものか――と、さすがの鋼鉄の女も、その冷たい面を崩して、困惑顔を作る。

「いや、だから・・・私にはそう言う趣味はないから!」
と、いつものように殴ったり蹴ったりする訳にも行かず、かと言って、キツイ言葉で傷つけるのも可愛そうだし...
そんな風に躊躇している内、自分より幾分低い身長の女性から、腰や肩に腕を回されてがんじがらめに捕らえられ、蜘蛛の巣にかかった蝶のように為すすべがなくなったインテグラが、頬に寄せられた女の唇を避けようと抗っていると、その背後からいきなり、「我が主から手を離せ、女。」と、低い無表情な冷たい声音が響いた。

その声は血が通っていない冷たいもので、全く色を含ませないものだったが、その地を這うような低い声は、色がない分、鋭利な恫喝を含んでいて、その声を聞いた女は、身体を強張らせた。


「離さんとぶち殺すぞ、人間(ヒューマン)」

抑揚のない低い声は、感情を含んでいないのに、明らかに怒気を孕んでいて、女は強張った手を震えさせながら、インテグラから手を離した。

女のか弱いのに執拗な束縛から逃れたインテグラは、あからさまにほっとした顔を作って振り返った。

普段なら、呼びもしないのに出てきた化け物は罵倒とお仕置きの対象なのだが、今日に限っては上出来だと、女は振り返った顔に、『でかした従僕、お前ってたまには使えるヤツだ!』と、珍しい賛辞の色を浮かべた。
だが、こんな異形の化け物を夕暮れの陽の中に立たせて、人間にその魔性の姿を見せ付けるのは不味いだろうと、女主人は眉を潜める。


「あとは、いいから戻れ従僕。一般人相手にその姿を晒すな、アーカード。」

女主人が何時もに比べ、穏やかで優しげな口調でそう告げた。だが、その巨躯を誇る魔がしい化け物は、インテグラの姿を通り越し、その後ろを見ているのだった。

そして、口の端にニイッと皮肉な笑いを作る。

緋色の帽子にマチネ色のサングラスをしていても、その秀麗な顔に浮かぶ冷たい厭な笑いは、寒気がするようなそんなものだった。
そんな従僕の姿を見て、インテグラも体の向きを変える。すると、怯えているらしい女は気丈にも青ざめた顔に鋭く細めた目を作り、怯えた自分の身体を抱くようにして、異形の化け物を渾身の力で見つめていた。

「一体、誰?私の屋敷にどうやって入ったの?お・・・お前は、ヘルシング家の従者なの?」
語尾は震えていたが、女は屋敷に突如現れたその化け物を誰何する。


――剛毅で狡猾と言われる男の血を引くだけのことはある。珍しい程、勇敢な女だ


インテグラも、姿に見合わぬ剛毅なその女に内心賛辞を送ったが、従僕がそれを面白がっているらしい様子に気付くと、チッと小さく舌打ちした。


「私か?私はこの女から飼われる犬だ。そして、この女は私の主人だ。」
男がさらに口の端を上げて、面白そうに応える。


「お前が犬?!飼われている犬ですって?!ヘルシング卿が主人だというの?」


男はさらに口の両端を吊り上げると、頬に皮肉そのもののシワを刻んで頷いた。
だがその笑い顔は、恐怖を駆り立てるものでしかなかったが。


「な・・・何故、ヘルシング卿の下僕のお前が、邪魔立てをするの!」

女は腹を立てているようだった。
恐れを抱だかされて、戦慄くほど恐怖させられている事にも、せっかく落とそうと思っていた意中の相手を鼻先で掠め取られたことにも、その両方に怒っているらしかった。


「お前では、この女の相手は務まらん。何せこの女は、この私を飼い犬扱いするような剛の者なのでな。お前も犬に成り下がる気概があれば、多少の話し相手くらいしてもらえるだろう。いかがかね、お嬢さん。すべての矜持と自尊心を捨てて、この女の飼い犬に成り下がれるかね。」


――おいっ!!何だその口ぶりは?!それじゃ私がまるでーーーっ・・・

変な誤解しか与えられそうにもない、従僕のとんでもない台詞を聴いて、眉を吊り上げたインテグラだったが、そんな自分を、恐怖の中に湿度を持った執拗な目でじっと見つめている女に気が付く。

自分は、見かけよりはずっと執拗で剛毅な資質を持った女に、随分と関心を持たれているらしい・・・と悟ったインテグラは、一瞬心の中で躊躇したが、顔をいつもの氷のような面に変えた。
相手に腕力と言葉の暴力も振るわずに諦めさせるには、確かに今しかないようだった。

また泣かれて縋られても困ると思った女は、声も北方の湖面を渡る冷たいものに変えると、眼鏡の奥の目を細めて女に対峙した。


「そうだ。この男は私に忠実な飼い犬であり、私が屋敷に囲う奴隷だ。私が欲しいのは、奴隷であり、飼い犬だけだ。」
そう冷たく言い切った女指揮官の冷酷な顔を穴が開くほど見つめていた女は、ガクッと項垂れた。


「――私、そう言うSMプレイって無理かも。辞退させていただくわ、ヘルシング卿。私に飼い犬は無理・・・」

その言葉を聴いて低い声でクツクツと笑う従僕を、振り向きざま拳で張り倒し、足蹴りを喰らわせたインテグラを見た女は、この女指揮官を真性のサディストだと、心の中で思うのだった。






その日、陽が暮れてから屋敷に帰り、脱ぎ散らかした服もそのままに、蹴って飛ばして脱いだ靴を部屋の隅に転がして、自暴自棄になって私室のソファに突っ伏した女は、悔し涙をクッションに零した。

剛毅だ、勇猛だ、男勝りだといわれるのは仕方が無い。
本当は、そんな事を言われるのは不本意だが、化け物を飼いならして任務遂行するためなら鋼鉄の女にも、ミス悪役面にもなる覚悟はある。

だが、狂暴で巨躯を誇る男を飼い犬として従える、アニアックな性癖のある女として見られるのは、正直我慢ならかった。

あれしか最良の方法はなかったのだろうか――と、実は繊細な部分も持ち合わせている女指揮官は、自分をエントランスで見送った時の、女の冷たい侮蔑の瞳を思い出しながら、悔恨の涙を零すのだった。



そんな、獣のような唸り声を上げて悔しがっている妙齢の女主人をからかいに、その晩も女主人が大好きな忠実な飼い犬は、主人の部屋に影から巨大な体躯を立ち上がらせ、その顔面に容赦なくクッションや靴やら、そして法儀礼済みの銃弾を食らっては、嬉しそうに魔物の笑いを零すのだった。



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いえね・・・OVAが余りにも何と言うか。
あれじゃ女の肩幅じゃねぇよっ!!って言うか。

色々と言いたい事はあれど愚痴になるし、そんな突込みをしながら見るんじゃ全然愉しくないんですが、せめて、

・グラさまの肩幅を何とかしてもらいたい

・ゴカーーンのグラさまのお肌の色合い!アレは何だ!!せめて四巻ぐらいの色合いまで戻せ!!でなくば、も一度、閣下が描いたお嬢のカラー絵を見ろってんだ!!

くらいは言いたいんです。グラさまスキーとしては。


しかし、OVAゴカーーン。
タイトルが出るあたりのCG。前はCGしか取り柄がないと言われる(失礼ッ!!)サテ◎イトの技量を駆使した、流体系の血が「HELLSING」の字に変わるという高度技法だったんですが、それがスパッと切られていて、正直ビックリでした。あんな辺りに、CGの技量が出るんじゃないかと思うんですがね・・・

それに神父さまと13課の件がねぇ・・・
マンガの方が余りにもスムーズ過ぎる流れと波があって、映像化には悩んだとコメンタリでは言ってましたが、アレではアクション半端過ぎるというか・・・(これは見るたび毎回思う)

こんな感じで、『死の河』あたりで、グラさまから「謳え」とか言われた日には、旦那が「おぉれぇは、ジャイアン〜〜!」とか、歌いだしそうな気がします(笑)


そんなこんな不満を、今回は妄想へのバネに(なんじゃ、そりゃ???)
来週分の校正もガンガローーゼ、自分orz








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