到彼岸〔とうひがん〕・妄想MEMO 妄想タレ流し
【個人的妄想のメモと気が向いたときの近状記録】 ここはヘルシング同人サイトの2次創作専用のブログです。 妄想の糧やオタの日常を呟いています。 心当たりがないのに、何故か迷い込んでしまった方は、速やかにお帰りくださいませ。
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「夕星に歌う」の後編にくっつける、おまけ話。
校正の予定だったのですが、「なぁぜ、お前は書き足しとるぅのだぁ!!」(思わず若本デル口調)と。
長くなってます。自分の馬鹿さ加減に呆れとります。(笑)


ということで、書き足してしまったイントロ部分だけ載っけて置きます。
続きは復活後に〜〜(笑)






―――――――――――――――――

「牧神の午後への前奏曲」


ビロードと更紗の天蓋の襞が、夜更けに僅か揺れた気配がした。

夜の波が寄せるようなその襞の動きに女は気がついたが、それでも目を開けることなど、とても出来なかった。



今までこの寝室に見知らぬ何者かが侵入したことなどなかった。
例え、侵入できるものがあったとしても、それが寝台に忍び込んできたことなど、今まで唯の一度たりとも無かったのだ。

――きっと気のせいだ。疲労している分、気が立って熟睡できないのかもしれない

女はぼんやりとした思考でそう自分を納得させると、横向きになっていた身体を胎児のように丸め、また睡魔の優しい招きに応じようと意識を途切れさせる。

その時だった。
寝台がキシとかすかな音をさせ大きく傾いだのだ。

正しくは寝台が傾いだのではなく、ベッドのスプリングが背後でやけに大きく沈み込んだのだったが、睡魔に攫われそうになっていた女には、寝台が傾いだような大きな波が伝わった。
背後に何か居る?――女は意識を覚醒させ、何とか目を開けようと足掻くが、それは唯の足掻きで終わり、目を開くことがままならない。

そうする内に、掛けていた布団がゆっくりと静かに捲られていくのが分った。

スプリングを深く沈ませた何かは、胎児のように丸まって生まれたままの姿で眠る、成熟した女の身体を粘りつくような視線で眺めているようだった。
視線には粘度と焼きつくような熱、それでいて凍えるような冷たさがある。

女は目を瞑っていても感じるその不愉快な視線を遮ろうと、身に掛ける布団を手探りで探したが見当たらず、結局はシーツのシワの寄っていた部分に手をかけると、それを剥ぎ取るように引っ張って無理やり身体に巻きつける。
いい加減、目を開けなければと思うのに、瞼が膠で固められているように、びくともしないのだ。

シーツに包まれて芋虫状になった女は、さらにベッドの端へと転がって、そこで天蓋の襞に行く手を阻まれる。さすがにここから出たら床に落ちる!と、長年の経験で学んでいた女は、転がるのを止め、そこで再び睡魔の手を取って逃避行を試みるか、何とか意地でもって意識を浮上させるかほんのちょっと悩んだ。
が、結局は、別段害意が感じられない気配など、『私の単なる気のせいだ』と判断し、睡魔の手を取ることに決めたのだった。

そのまま糊の効いたシーツに包まって、深淵の縁で大きく傾いでいた女だったが、その時自分の肌の上を冷たいものが撫で上げたのを感じとる。
シーツ越しでもはっきりと分るその冷たさは、いきなり氷を押し当てられたような痛さ。
女はそれではっきりと、『これは気のせいなんかじゃない!』と認識し、ようやく睡魔の誘惑から身を引いて、ゆるゆると眠りから浮上してくる。

冷たいものは確固たる意思を伴って女の身体の上を撫で上げ、なだらかな丘陵になっている横向きの腰の上のあたりを何度も往復している。そしてシーツの隙間を見つけたそれは、そこから強引に入り込んで、その冷たい感触を直に女に味合わせた。
その冷たすぎるものは、零度の温度の灼熱で、女の意識を覚醒させる。

それは明らかに手だった。

大きくて、冷たくて。
冷たいが故に灼熱で。
普段は暴力と狂気の執行に用いられる、節ばった冷たい手。
それは最近になって、自分と躰の交わりを持つようになった、あの傲岸不遜な狂気に彩られた男の手に間違いなかった。


――ああ・・・これは、あの男の手だ。


女が瞼を持ち上げて、その蜂蜜色の肌の間から美しいブルーダイヤの瞳を覗かせようと、瞼をふるふると震わせる頃になると、男はその不埒な振る舞いをする指先を胸の頂きへと宛て、その柔らかく熟していた薄紅色の頂点を摘み上げるのだった。
敏感になって硬くしこり始めた胸の頂きを弾くような刺激に、女主は喉の奥でうめきを殺すような甘い声を上げると、ようやくそのブルーの瞳を覗かせる。

まだ焦点の定まらぬ女は、そのぼおっとして濡れた色をした紺碧の瞳を数度、瞬かせた(しばたかせた)。

そして、長く伸びた髪を女に垂らすように覆い被って自分を覗きこんでいる、白皙に浮かんだ血塗られた色のふたつの紅玉をようやく捕えたのだ。
まだ眠りから脱していない身体は重く、普段は鋭敏とも言える快楽を与える冷えた指先の動きを、女は緩慢に感じる。
そのやんわりとした刺激に女は眉根を寄せながら、自分を食い入るように覗きこんでいる美貌の白皙を暫し眺めていた。


「私の寝台で何をしている、奴隷(スレイブ)?」
女の口から漏れたのは、ため息のような掠れた叱責。しかし男にはそのため息のような叱責は、久々に耳にする甘い睦言のように耳に響いた。


―――――――――――――――――――
「牧神の午後への前奏曲」とタイトルを打とうとしたところ、禅僧曲と変換されてしまった。
禅僧曲・・・あるのなら、是非聞いてみたいかも〜(笑)!


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