ぼちぼち書いている妄想。
書き終えちゃう前に、またあっちこっちの妄想に飛んじゃって (主にパラレル。こんなに書いてもまだ終わらない、「ライフワーク?」って云われそうなほどに書いてるのに、まだ載せられない捏造話・・・) 、半端なまま、なかなか進まないので、自分にノルマを課してみる。
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神よ、それを変えるだけの勇気を我に与え給え
冷たさも度が過ぎると痛いとしか言いようがなくなることを痛感した女は、もうこれ以上は上がりようが無い厚手の純白のダウンコートのジッパーを更に上げようと試みたが、やはり無駄だった。
ゆるんでいた襟元を覆う柔らかいウールのロイヤルブルーのマフラーをぎゅっと結びなおした女は、そのブルーと同じ色をした瞳を覆い隠すように張り付いた眼鏡の雪を、指先で払う。
裏に厚くて温かい毛織物を裏打ちしたラムスキンの手袋のお陰か、冷えやすい指先は、まだ凍えてはいない。だが、もたもたしていたら凍死体になりそうな吹雪だった。
雪は降っていないのに、さらさらとした粉雪が身を切り裂くような強い風に煽られて、下から顔に吹き付ける。
所謂、地吹雪だ。
背の高さを少し超えるくらいの高さの辺りまで雪が舞い上がるため、視界はほとんどない。
時折気まぐれに止む風の合間に見える風景を、覚えていた情報とつき合わせて、持っていたコンパスで方位を確認して進むしかなかった。
あまり厳しくない寒さの割と温かなロンドンに住む雪国の生活に無縁な都会育ちの女は、その冷たさと、白い悪魔のような吹きすさぶ地吹雪に、内心悪態をついていた。
何だって最近はこんな任務ばかりなんだ。
軍の内情はどうなっているんだ!
なんで情報がこうも筒抜けになる?!疑うべきは誰なんだ?
先だっても、軍がらみの身内の恥を始末する任務を請け負ったときに、今回と似たような境遇にあったばかりなのだ。
なのに、また再びというのは、何かしら我が国の軍内部の奥深く、もしくは上層部に、疑うべき人物がいるのではないだろうか?と、女は眉間にシワを寄せて考える。
軍が手配した移動中の圧雪車が3台とも大破され、小回りが効くようにと積んでいた雪上用のモービルも一緒に破壊された。
タイミングといい、襲った場所といい、完璧と言っていい破壊行為だったと思うが、特務機関の長はそんな事態でも生き延びていた。
やはり今回も、ひとりだけ。
生きのびたのは、この女ただひとり。
そう、あの従僕が、主以外の人間に関心を持つことはあったとしても、その生命を守ることなど、決して無いのだ。
数多の人間の命など、彼には全く意味を見出せはしない。餌としての意味以外は。
しかし、何故こうも毎回極地なのだ!と女は溜息をそっと零す。
灼熱に照らされて干からびるのも御免だが、凍てつく風に吹き去らされて、寒風干の魚のようになるのも御免だ――と、女は思う。
ただ幸いなのは、気まぐれにコンパスをポケットに入れて来たことと、何故か胸騒ぎがして現場近くの地理を頭に叩き込んできたことだった。
何かしら災難に遭遇しても、只では起きない女なのだ。
前に身に起こった災厄は、全て次の任務に活かすのが、鋼鉄の女と称される特務機関の長の信念だった。
黙々と真っ白な大地を進む女を、痛いとしか言いようの無い風は雪を巻き込んで、彼女をなぎ倒し、屈服させようと強く吹きつける。
瞬間的に吹き付ける暴風に、かぶっていた帽子を飛ばされそうになった女は屈みこんだんだ。
こんな所で帽子が飛ばされたら耳が凍傷になるに違いないと察した女は頭を抱えて、冷たい雪の上に片膝をついて、突風が止むのを待つ。
猛烈な敵意をむき出しにしたような風が落ち着くと、女は手袋を外し、それが飛ばされないようにポケットに念入りに仕舞う。
そして、顎の下で結んでいたフェルト帽の耳あてから下がっている紐を、飛ばされないきつく顎に食い込むほどに、頑丈に結ぶのだった。
凍えた指先に息を吹きかけてから手袋をはめると、女はゆっくりと立ち上がる。
深くかぶった帽子と鼻の頭まで覆ったマフラーのせいで、美しい蜂蜜色の肌が見える箇所は殆ど無いが、そのブルーダイヤのような瞳は凍てつく北の森の中でも、いつもと同じように冷たいのに情熱的な青で彩られていた。
吹き上げる強い風が、帽子からはみ出した長い女のプラチナブロンドの髪を弄んで、嬲っては乱して散らす。
白銀の輝きを含んだ風に乱される髪は、きらめきを孕んで、白い大地の上で舞っていた。
「おい、出て来い。」
女は、じっと前を見据えたまま、その吹き渡る吹雪と同じような冷たい声音で声を出した。
「どうした。さっさと出てきて返事をしろ、この鈍間め!」
彼女以外生きるものの姿が見えない、真白の大地の上で、この世に存在するのに常には隠されている異形の何者かに話しかけるように、厳しい声音で女は呼びかけた。
その呼びかけた女の顔は、内面のいらいらを表すように眉が寄せられていたが、その表情は帽子に隠れてほとんど見えない。
すると、彼女の足元に近い辺りから、不思議と強い風に流されることも打ち消されることもないのに大きくは無い低い声が、くぐもるような声音を持って応えたのだった。
「何だ、我が主。私をこんな真昼間に外に引っ張り出そうと云うのか?私は先程、陽の光の下で働いたばかりだぞ。」
確かに、圧雪車が破壊された後、主の身を守った従僕は、戦闘をしかけてきた族(やから)を、主人の命令で抹殺したのだった。
相手はどう見てもただの人間だった。
が、ありもしない永遠の生命と不老不病の身体という餌を目の前にぶら下げられたであろう。
まだ若い兵士たちは、明らかに殺意をむき出しにしていた。下っ端の兵士が上層部の人間を手に掛けたのだ。もう引くに引けない状況でもあったのだろう。
目撃者を始末することの保身と、目の前にぶら下げられた餌がもうすぐ手に入る歓喜に、愚かな若い兵たちは、局長の女の話を耳に入れる気は全くなかった。
人間に対して化け物を兵器として使う。
その事実にまだ若い特務機関の長は躊躇を覚えたが、それでもその葛藤を化け物の従僕に見せることなく、色を潜めた冷たい声で、「見敵必殺」の命を下したのだった。
しかし、そんな命を下さずとも、きっとこの従僕は相手を愉しげに嬲って喰い殺したかもしれない。
自分の主が持つ艶やかな蜂蜜色の魅惑的な肌を、兵の男たちが口汚く罵りメス豚扱いすることなど、この矜持の高い吸血鬼には許されざる行いなのだから。
この強風で葉巻にも火がつけられない女は、嗜好する紫煙が吸い込めないイライラも含めて、自分の従僕に優しさの欠片も無い叱咤を浴びせる。
「だから何だというんだ、この自堕落な主の言う事も聴けん馬鹿吸血鬼が!私を守護するのが下僕たる護衛のお前の仕事だ。こんな北方の昼の日差しなんぞ、ロンドンの夕刻の陽と同じだ。化け物が好む逢魔が時と何ら変わらんぞ、この臆病者めが!どうせ舞い上がる雪で、その日差しも翳ってるんだ!四の五の言わずに、さっさと主人の言うことを聞け、アーカードッ!」
短気を起こした女は、防寒用のブーツの踵でゲシゲシと声が聞こえるあたりの雪の大地を踏みつける。
他のものには滅多に見せることが無い、その少女のときのような癇癪の起こし方に、「ハァ〜」とわざと嘆息してみせた男は、女に踏まれては敵わんと、彼女の背後から、純白の彼女のコートとは対照的な緋色の巨躯を現したのだった。
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色的に紅白歌合戦のような様相になってしまった・・・
やっぱり男前お嬢が白組、乙女旦那が赤組(笑)
っうか、下書きをここに載せちゃえば、いやがうえにも仕上げなくちゃならんと言うノルマ。
いや。。。いくらエセ物書きとは言え、こんな載せ方しちゃいかんのですが。(いや、でも続きを楽しみにしてくれる人は、まず、いないと思うけど・・・^_^;)
ちょっと妄想タレ流し。
それから、現在、web拍手を試験的にメインページにくっくけております。
・・・自分でパーミッションの設定を見直すのが面倒だったんで、安易に借り物をつけただけなんですが。
気が向くままなので、体調的に大丈夫〜♪になったら外すかもしれません?(それ以前に使い勝手がわるかったら・・・いえ、取り付けた意味が見出せなかったら外します・・・)
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