到彼岸〔とうひがん〕・妄想MEMO 来迎引接(仮タイトル)
【個人的妄想のメモと気が向いたときの近状記録】 ここはヘルシング同人サイトの2次創作専用のブログです。 妄想の糧やオタの日常を呟いています。 心当たりがないのに、何故か迷い込んでしまった方は、速やかにお帰りくださいませ。
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前回の泡ズで湧き出した妄想を忘れる前にメモっとこう。

煩悩まみれ、妄想タレ流し。
相変わらずお馬鹿なアーグラで。



「続きはコチラ」に馬鹿話のメモを格納。




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来迎引接 ~らいごういんじょう~ (仮タイトル)






この時間に出かけるって言ってあったんだがな。よく考えればあいつもかなりの年寄りだから・・・・・・一度言われたくらいでは、あっという間に忘れるのかもしれん。年寄りは物忘れが激しいからなぁ~


そんなことをブツブツと言いながら、いつもより襟が大きく開いた艶やかでドレッシーな白いシャツの上に丈の短めの一見黒に見える濃いブラウンの2つボタンのジャケットを羽織った女主人は、鏡を見ながらメレダイヤをあしらった大きな十字架のシルバーのネックレスを後ろ手で止めようとして、ちょっと手間取っていた。


そんな女主人の様子を目を細めて書類の束を持ったままちょっと眺めていたセラスは、抱えていたそれを大きな執務机に置くと、そっと後ろから女主人に近寄る。
さすがにシルバーの、それもヘルシング総帥の厚い信仰心が宿った対魔物用のアイテムでもあるそのアクセサリーに直接触れるのは、したたかさと強さを嫌が上にも増したと言われる女吸血鬼でも、いまだに苦手であるらしい。

法儀礼済みの銃弾ほどではなくとも、これがあれば魔族を退かせる、あるいは動きを止めることは確実に出来るものなのだ。相手が新米の魔族であれば致命的な脅威となる――そう言うものなのだ、この美しく輝くアイテムは。


「インテグラさま、一度チェーンを外してください。」


不器用な女主人が髪とチェーンを不用意に絡めてしまう前に、セラスは声をかける。
するとインテグラはふむと頷いて、首の後ろに回していた手を下ろした。


セラスは優美で力強い背中のラインをほとんど覆う、光の川のようにも見える目を射るほどに眩い、白金色した長い髪を両手で丁寧に掴む。
そして女主人が痛い思いをすることがないよう、ゆるりと優しく束ねて頭上の高い位置に捻るように持ち上げた。


「インテグラさまの髪、最近、とみに白くなりましたね。」


昔々、この女を主人と奉じる従僕が、ふらりと消えてしまった日の、朝日に輝いていたこの女主人の髪は、白さは含んでいたがそれでも月光の雫を宿した目を射る金色(こんじき)だった――と、セラスは近いようで遠い、あの日の朝の屋敷への帰還を思い出した。
これほど白銀のような薄い色合いではなかった・・・・・・と、セラスはその日の朝の追憶に浸る。


しかしそれは、追憶になるには今だ生々しい、凄惨な・・・・・・あまりにも凄惨な、人間が「人間」として化け物に対して戦い抜いた激戦の痕跡の思い出だった。
瓦解した屋敷で激戦の痕跡を苦悶の顔で見つめ、頭を垂れて鎮魂の祈りを一人で捧げていた女主人の髪が美しく朝日に照らし出されていたのを、セラスはつい昨日のことのように思い浮かべることが出来る。


「何だ、セラス?自分の髪は、いつまでも艶やかな黄金色だと、そう自慢でもしたいのか?」
インテグラがふんっと鼻をならしてもう一度首にチェーンを回して、後ろ手に金具を止めようとする。


セラスはその様子を見つめて目を細めると、口の端をニィっと悪戯っぽく引き上げた。

「いやですよぉ~インテグラさま。ひがみっぽくなる歳にはまだ早いですって。私は誉めたんです。ほ・め・た・んですよぉ~!インテグラさまの髪は、まるで月光そのものです。金が少し混じった白銀の、濃紺の夜空に浮かぶ月の輝きそのものの美しさですよ。とてもお美しいんです、そう言う色は。吸血鬼じゃなくても目を奪われる色合いです。」

セラスは照れもせずにさらりと女主人の髪を誉めそやした。
そんなセラスの言葉に、インテグラはちょっとばかり頬を紅潮させ、「何を言っとるんだ。おだてても何にも得なことはないぞ。」と、うそぶいた。

そんな女主人の金具を止めようと指先を動かしているうなじを見て、セラスは眩しそうに青の目を眇める。


そう、これこそが。
気高い白鳥のような凛とした首筋こそが、白銀の髪よりもさらに美しいのだ――と、セラスは思う。

蜂蜜色の肌は昔に比べ弾力は劣っているのだろうが、それでも艶やかで、凛としているのに色香も香るという相克を宿す美しさなのだ。温かく脈打つ血潮が醸し出す芳香と、美しい首筋とうなじは、自分でさえも抑制するのに苦労する、そんな代物なのだ。

魔がしいと呼ばれる魔物たちが――そして首筋に牙を突き立てて、その血潮を貪るように啜るのが本能の吸血鬼たちには、抗いがたい誘惑であり煽情でもある首筋。
それに焦がれるのは、自分の師である吸血鬼の男も同じだろう。・・・・・・いや、自分以上に魅惑されているのかもしれない。なのに、喰らうことなく、ずっとこの女性を自分が仕えるたったひとりの人間として奉じ、付き従い、主人として認めてきたのだ。

あの吸血鬼の中の吸血鬼である不死者の王が主人として認め、帰る場所と定めたのが、今、自分の目の前で十字架が通された鎖の金具を後ろ手で止めている女性なのだ。



セラスは満足そうに、そして自慢でもするように、悦にいった怡びの笑いをその青白い面に浮かべると、不器用な女主人が金具を止めたのを確認してから、その麗しい首筋を覆い隠すようにプラチナの絹糸のような髪をそおっと下ろした。

確かに、この首筋は美しい。
それは血を糧とする一族には抗いがたい誘惑を呼び起こさせる欲望の象徴。一歩間違えば捕らえられる毒ともなる、そんな稀有なもの。



ああ、綺麗だ。
時を経て歳を重ねた今だからこそ美しい――そんなものは、極めて稀であるけれど、確かに存在するのだ。
これが「人間」の素晴らしさなんだろう。

あの偉大な吸血鬼が零した言葉に、間違いはないのだ。

しかしよく考えると、帰還した時に何の照れも躊躇も無く、よくあれほどの口説き文句を言ったもんだ――とセラスは口の端を引き上げ、可愛らしく乱杭歯を覗かせて嬉しそうに笑う。

それも口説かれた本人が、それを全く自覚せずに歯牙にもかけていないことが、さらに面白い。
こんな主従だからこそ、主従として成り立つのだ。こんなに素敵で面白いものはない!

――セラスはクツクツ笑いたいのをガマンして、ほどき下ろした女主人の白銀色した髪を極上の絹糸ように丁寧に梳いたのだった。



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時間切れ~~今日はここで終了
続きを書いて、ここか本家にアップしたい。そんな野望を抱いてみる、老嬢と旦那の話の予定(笑)

・・・・・・その前にパラレルやれよと、反省しきりだわor2





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