先週、台風がかすめた頃から、ちょっとガタガタ来ている管理人です。
ゴリゴリと頭の骨を切った部分が、顔面に掛かっているため、その部分のつなぎ目が盛り上がっているのが、前髪を上げると判ります(頭皮に関しては、両耳を繋ぐ弧の形で、髪の生え際から3センチくらい髪側に入って切ってあるので、実際縫ったつなぎ目は見えませんよ―)
で、今年に入ってからその骨つなぎ目、生え際付近の額のど真ん中に、「★」型の盛り上がりが出来ました。
これって折った骨はさらに強くなる?な原理なのかはわかりませんが、結構モリモリ盛り上がってます。
で、その部分が、天候が荒れる前から痛くなる。
こう・・・内圧が高まって、そこから脳みそが噴出すんじゃまいか?というか・・・
ウルトラセブンで云う、エメリウム光線、照射!!な感じです(そんなビームは出ませんが)
ちょっと危険な、便利なようで不便な気圧センサーを持ってる管理人です。
某様のお話で、「気圧の違いが判る泥棒さんたち」のお話があり、『そうそう、わかるよっ!!雨が降るとか、荒れるとか、台風とか吹雪とか!!分かるんだよねっ!!』と、ブンブン頷いてしまいました。
意外と気圧に敏感。・・・多分、人体ってそんなもんだと思います。
知っている整形外科の先生が、「圧す力が、人体の構造を安定させているんだと思う」的なことを言っていたので、低気圧が近づいて圧力が弱まると、切った・縫った場所の構造が不安定になって、こうギシギシするんのかな~と思うこの頃。
友人知人でも、転倒して腰の骨を折った方とか、リウマチの方とか、喘息の方は、てき面に低気圧に反応するので、意外と大気の圧力って馬鹿に出来ない気がします。
持病をお持ちの方や大きい怪我や手術痕を持つ方は、色々とご用心下さいませ。
そんなことを色々と考えながら浮かんだのが下の妄想。
割と静かな妄想で、短いです。
その上どっから見てもアーグラ。単なるアーグラです(笑)
それでもいいよ~と云う方は、「続きはコチラ」をご覧下さい。
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あまねく被う、その力
その日、従僕が起きた時から、女主人は無口だった。
寝坊することが常の吸血鬼は、空の色が紫色に染まりはじめた頃合にいつも起き出して、執務室にその姿を立ち上がらせるのが常なのだ。
だがその日は、いつもに比べれば早起きと言っていい時間に、アーカードは棺桶から身体を起こしたのだった。
黄色を濃く含み始めた日の光が、磨き上げられたガラス窓を透かして、真横の位置から執務室の中を黄昏れた色に染め上げる。
夕暮れ時が始まったばかりのそんな忌々しい日の光りに照らされた男は、ちょっと口の端に憎憎しげな皺を寄せ、大切な女主人の側にぞるぞると立ちあがった。
しかしその影は化け物の常で、人のように黄昏時に長い尾のような影を作ることはない。
その足元に落ちる影は、「影」と云うには憚られる、化け物から滲み出る魔がしい「翳」だった。
普段と同じく不調法な方法で姿を滲ませた珍しく早起きな男に、「全くお前と云う男は。『扉』が何のためにあるのか知らんのかね?」と、いつもより格段に短い小言を言ってから溜息を落とした女主人は、それでも「おはよう、アーカード」と自分の従僕にあいさつをした。
ソファに腰を下ろして長い脚を組んで食事をしている男には目をくれず、机の上に置かれた画面を覗き込んだり、キーを打ったりと、熱心に仕事をしているのは相変わらずの姿だったが、それでも時折、深く溜息をついて肩の辺りをさすったり、左胸の上の辺りを押さえたりしながら作業を中断するのは、従僕がこの世界に帰ってきてから、初めて目にする女主人の姿だった。
「違いますよマスター!!マスターは禁煙じゃなくって、近頃は控えめにしているんです。何たって煙草はお肌の老化を早める大きな要因ですからねっ!」
「止めたのかと思ったがそうではないのか。我が主も禁煙と挫折を繰り返す手合いになったのかね?」――などと、近頃戻ったばかりの吸血鬼の男がそう揶揄するように軽口を叩いたのを聞きつけたセラスが、当の女主人が返事をするより早く、そんな応えを返したのは、数日前のことだった。
この屋敷には現在セラスの「マスター」がふたりも居るので、ややもすればそれは混乱しがちな要因になるのだったが、そこは何となくニュアンスで見極めている、マスターたち。
しかし、その内のひとりのマスターは、見れば今日はやたらと葉巻を口にするのだ。
今もまた新しい葉巻をシガーケースから取り出して、先をカットした女は、隻眼を細めてそれに火をつける。
そして大して旨くはなさそうに、無闇と煙を深く吸ったのだった。
イライラとしているらしい女主人を揶揄して、自分へと気を惹かせてやろうか――と、考えた魔物の男。
だが彼は酷薄そうな唇を結局開くことなく、女主人が群青色した深い溜息と共に紫煙を吐き出すのを見て、大人しく口を噤んだのだった。
何か飲み物を・・・・・・そう、今は、お茶ではなく熱いコーヒーが飲みたいと――考えたインテグラは、そろそろ夕食の頃合なのは判っていたが、ディスプレイから顔を上げると、内線電話を取り上げる。
そしてその時、自分のすぐ側――座っている椅子の脇に緋色の男が立っていることに気がついた。
――時折こんな風に、物音と気配の全てを消し去り、捕食者の技能を駆使してこの男は近づいてくるんだったよな・・・・・・
そんな遠い記憶を思い起こしながら、インテグラは電話に出た厨房を仕切っている相手にコーヒーをオーダーする。
そして、受話器を静かに置くと、ちょっと首を傾げて『何んだ?』と青の目で問うように、自分の美しい・・・・・・いつまでたっても歳を取らずに美しい姿を留めたままの、死人の男を見上げたのだった。
「痛むのか、我が主?」
人のことを・・・・・・己を従える主人のことでさえも、そんな風に慮ったことのない傍若無人な吸血鬼の王の問いに、インテグラはちょっと驚いて、たったひとつになってしまった貴石の瞳を見開いた。
インテグラのそんな驚きの青の視線を受けても、秀麗な吸血鬼の顔は、ぴくりとも動かず無表情なまま。
この男は、まるで芸術家が渾身の力で作り上げた最高傑作の彫像のように、冷たくて血の通わない冷然とした美しさだった。
まさに彫刻の如き死人そのものの静謐な男。だが、劫火のように揺らめく紅玉の瞳を見れば、この男は強固な「意思」を持つ、並外れた存在であることが理解できる。
インテグラは初めて聞く男のそんな言葉に、苦笑の片鱗を口元に浮かべたのだった。
「さすがは吸血鬼だな。人の脆弱な部分を見抜く目は、魔物の狡猾さそのものだ。」
そんな皮肉を口にした女は、吸いかけの葉巻に手を伸ばし、クリスタルの灰皿からそれを取り上げると深々と吸い込む。
そして、煙をゆっくりと吐き出してから、ふたりの間に流れていた沈黙を破ったのだった。
「これは撃たれたんだ。かなり昔の傷だ。お前が消えてしまって1年と経たないうちに作った傷だ。」
そう言ったインテグラは、左腕の付け根の辺りを自分の右のひとさし指の先でトントンと軽く突いて見せた。
「そしてここは、その2年後に撃たれた。心の臓からわずかにそれたのが幸いしたが出血が酷くてな。出血性のショックもあって一時は意識がない状態までいったらしい。
あの時はセラスが気をもんでなぁ~~気がついたら、あいつはもうぐっしゃぐしゃの顔で泣きじゃくって、えぐえぐしてて・・・・・・そりゃもう血涙の大サービスで、結構、大変だったんだぞ。」
そう言葉を続けたインテグラは、今度は自分の左胸の辺りを指先で軽く押さえた。
女主人のそんな告白に、従僕は・・・・・・彼女に従う契約を交わした吸血鬼は何を思ったのだろう。
吸血鬼の男の顔は相変わらず冷酷に見えるほど無表情で美しいままだったが、その紅玉の瞳は激しい風に煽られた熾き火のようだった。
「――――今になっても痛むのか?」
「ああ、痛むんだな、これが。普段は何ともないんだが、こう、天気が下り坂の時に疼きだす。ジクジクとした痛みだ。
身体は再生しても、一度損傷した箇所はその痛みを記憶しているんだな・・・・・・大気の圧す力で身体が不調になるなんて、不思議なものだ。」
世をあまねく被う大気にも圧力があると謂うが、死体となってしまった身体では、アーカードにはそのような人体の機微は分かろうはずもない。アーカードでは、彼女のそんな古傷の疼きや痛みは到底理解出来ないのだ。
それは彼自身が感じる、撃たれれば痛い、斬られれば痛いという、そんなものとは違うものなのだろう。
・・・・・・だからこそ。理解が及ぶ範疇から外れているからこそ、この男はその血塗られた色した瞳を煌々と瞬かせて、インテグラを見つめていた。
「お陰で、今はちょっとした気圧計替わりにもなる。この痛みで天候がわかるんだよ、私は。」
そう言って口の端をちょっと引き上げて、不敵なのに艶を秘めた微笑を作ったインテグラは、海の青の瞳を細めてアーカードの赤の視線を絡め取った。
人は有限。その死は存外にあっけなく訪れる。
なのに傷ついても、足掻いて足掻いて、悪足掻きを続け、傷を何とか再生しながら、この女主人は口を引き結び、弱音を吐かず戦い続けてきたのだと――そう思える、不敵なのに美しい、今のこの女にしか作りえない、歳経た化け物の目を奪われずにはいられない、そんなインテグラの微笑。
それを見て、人の「再生」には程遠い、取り込んだ生命を浪費する魔がしい「復活」で存在することを続けてきた動き回る死体である吸血鬼は、目を弧にして自分の女主人の顔を食い入るように見つめたのだった。
執務室のドアをノックして入ってきたのは、厨房のものではなく、セラス自身だった。
女主人の脇に、何やら満足げな微笑の気配を面に乗せて立っているマスターを見つけた彼女は、一瞬、怪訝な顔を作ったが、それでも何も余計なことは言わず飲み物の準備を始める。
乳白色が美しいボーンチャイナの繊細な蔦と花を浮き出させた優美なセレニティのコーヒーポットに熱いコーヒーを入れて持ってきた女吸血鬼は、同じく温めてきたセレニティーのカップに中身を注ぎ、それを女主人の執務机に静かに置いた。
ハンドルに指先をかけ、コーヒーの芳しい香りを楽しんでいる様子を紅玉の瞳で脇に立ったまま眺めているアーカードに、ふとインテグラの青の視線が注がれる。
「お前も飲むかね、アーカード。 大陸出のものなら、こちらの方が馴染みだろう?」
とにもかくにも紅茶が飲まれるこの国であるが、ヨーロッパ全体を見渡せばそれは少数派であることを自覚している女主人は、自分の従僕に珍しくそう尋ねる。
そして口の両端を引き上げて乱杭歯の先を覗かせた皮肉気な微笑を覗かせた従僕が深く頷くのを確認すると、その夕刻、30年の長き放浪の後に帰還した吸血鬼に、深い琥珀色した飲み物を下賜したのだった。
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帰って来た吸血鬼の、ほのぼのな日常(笑)
老嬢さまの身体が、実は心配で心配でたまらない、そんな吸血鬼のある夕暮れのお話でした。
セレニティ。正式にはホワイト・コノート・セレニティ。ウエッジウッドのホテル・レストラン用のもので、その分とても丈夫です。
でも、その丈夫さとは裏腹に、ボーンチャイナな艶があって、とても優美なのであります。
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