まるで週刊誌のようなペースで、アホなものを連載しておりますが・・・
そんなものを今週も投下であります。
【ご注意】
・お題は「アーグラでホストパロ 18禁」です。
・格好いいお嬢さまや旦那が出てくる話には、到底、なりそうにもありません。
・完全なるパロディです。ヘルシングの内容からは大きく外れております。
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クロイツェル・ソナタ その3
上手く出勤管理を組み立てたはずだったのに、その夜は連れを何人も引き連れた本指名のマダムが多くて、ヘルプが足りない状況になってしまった。
それはそれで仕方のないことではあって、連れられて来た初見の客が暇そうにしている――と云うことはなかったが、やはりテーブルに見目麗しいのがいればさらに盛り上がるだろう・・・・・・
そう考えた隻眼の男は、無愛想なのに愛嬌があるという奇妙な内勤兼ウエイターの歳若い新入りをひょいひょいと手招きしたのだった。
「ちょっとここのサポート頼むわ。」
口の端をちょっと引き上げて笑った長い髪を結んだ男の要請に、手招きされたインテグラは瞬時、冷たい無表情のまま思考を巡らせた。
自分はあくまでも内勤なのだ。そう言う約束なのだ。だがしかし・・・・・・
断った時に得る不利益と、引き受けた時の益を天秤に掛けた彼女は、その損得を冷静に判断すると、オーナーの勧めもあって、その隻眼の男のいるテーブルについた。
ウエイターが足りないのでは?と心配したが、どうやらオーナーが、厨房の男にウエイターとカウンターも受け持ってもらえるよう手はずしたらしい。
そのオーナーは、インテグラに『こちらは、心配要らないから』と目配せすると、何やらニコニコして上機嫌な顔を作ったのだった。
年齢不詳なマダムたちは艶やかな肌を、さらに肌が美しく見える照明に照らされて、美しい磁器がディスプレイされたような眩さを放っていた。それに加え、彼女たちの身につけている煌びやかな宝飾品もきらきらと明かりを反射して、席に着いたインテグラの目を射る。
だがしかし、そんな造られたものよりも、さらに目映く光りを含んで目を喜ばせるインテグラの冷たい黄金色した長い髪と、艶やかでなめらかな蜂蜜色した美しい肌に、目の肥えた女たちの嬌声が上がった。
急に花が増した勢いのそのテーブルに――いや、座ったインテグラの身体に、圧力を持った痛いような視線が何本も注がれた。
妬みとか嫉妬とか・・・・・・あるいは彼女の理解を超えた意図を持った重く粘りつく絡まる視線。
インテグラは人の視線に宿る力の大きさを、その夜はっきりと認識したのだったが、強気で剛毅な彼女はそれを一切無視して、手にしたグラスに客から快諾を得たウィスキーを注いだのだった。
強くもないが、弱くもない――と自認していたが、いざ仕事がはけると慣れない仕事をこなしたせいか、疲れに酔いが回って、インテグラは酷く疲労した重い身体を事務室のソファに横たえた。
送ってくれるという隻眼の同僚の野暮用が終わるまでの間、「ちょっとだけ、ここで休みたい」と言ったインテグラに冷たい水を運んできたハインケルは、そんな疲れた痩身にソファに置いてあった毛布をかけてやる。
そして「まぁ、初めて仕事をこなした日は、誰だって草臥れるものさ。ベルナドットが来るまで少し休んだらいい。」と声をかけると、少し心配な目つきをして、会計を締めるためレジに向かったのだった。
パタンと事務室の扉が閉じた後だった。
事務室の扉の前で、ハインケルと誰かあいさつを交わしたらしいその声に続き、またすぐに扉が開き、今度はマクスウェルが顔を出す。
以前、衝突してからインテグラの動向をそれとなくいつも注視している皮肉屋で高邁な態度のこの男は、ソファの背に寄りかかって半分目を閉じているインテグラの正面に立つと、尊大にふんっと鼻を鳴らしたのだった。
「なってない接客だな、おい。だが粗末な接客の割りに好評だったのは、お前のその珍しい容姿のお陰だろうな。その顔つきに褐色の肌。珍しがられ、面白がられて喜ばれたんだ。決して、お前の接客が喜ばれたわけではない。」
マクスウェルは、インテグラが実は気にしているらしい肌の色をあげつらい色々と罵倒に近い言葉を並べたてた。
しかし、いつも威勢のいいこの新米の男が、ほとんど何も言い返さずにただ細くした目で眼鏡の奥から見つめ返しているだけなのを見下ろすと、面長の冷たい面差しの男はニイッと皮肉そうな微笑をこぼした。
「まあ、だが客を喜ばせる術は心得ているようだ。それだけは褒めてやろう。」
それからなぁ、あのペースで飲むのは早すぎだぞ、お前。もっと自愛しろ――と、何故かそんな言葉をかけたマクスウェルは、自分の節ばった細い指先をインテグラに伸ばし、唐突にその髪をひと房掬ってしげしげと眺めたのだった。
「しかし、綺麗なものだな、髪だけは。その内、髪の手入れの方法を聴かせてもらいたいものだな。」と、呟くように言った高邁な態度の男は、その髪をはらりと散らすと、来た時と同じようにするりと扉を潜り抜け、あっけに取られているインテグラを残して事務室を後にしたのだった。
――何なんだろうあれは??
疲労困憊のインテグラは、マクスウェルの自分とも似たその痩身をソファに座ったまま見送りながら眉を顰めた。
新人の教育やミーティングの進行の役割を担う、辛口の割にはそれなりに信頼を集める男は、意外と同僚と店の隅々に気を配る、そんな仕事熱心なヤツなのかもしれない・・・・・・インテグラは、ずれた眼鏡を直し、テーブルの上のグラスに手を伸ばしながら、ぼんやりとそんな事を考えた。
冷えていたはずの水は、ほとんど常温と言っていい温度になっていた。
グラスの周りには大きな水滴が魚の鱗のように貼りついていて、インテグラの指先がグラスに触れるとそれは幾筋もの雫となってテーブルに零れる。
事務室は小奇麗で、ハイクラスのクラブに見合う応接室に続いているせいもあるのか、室内の作りも調度品もいいものが揃っているのだが、如何せん「事務仕事」をするための照明は無粋で、室内は青白い冷たい海の中のようだった。
インテグラは背凭れに寄りかかったまま、手にしたグラスから喉を鳴らして水を半分一気に飲み干す。
そして、『まぁそれなりに人には何かひとつくらい美点があるものなんだろう・・・・・・』と、マクスウェルに対して、ちょっと失礼な結論を出したのだった。
この重い疲労は――もしかしたら人の負の視線が生み出す疲れなのではなかろうか?
そんなことを考えながらアルコールに侵蝕され、感覚が鈍った重い身体を持て余していたインテグラだったが、廊下を歩く足音がカサリとも聞こえなかったのに、扉のノブがゆっくりと回される気配に気がついて、思わずぎくりと身を硬くした。
「何件か掛けなきゃいけない電話があるから少し待っててくれ」
そう言っていた隻眼の男の用事が終わったのだろう――そう考えたインテグラは、多分身のこなしが軽いあの男が迎えに来たのだろうと、硬くした身体の力を抜いてその扉の先を見つめる。
だが・・・・・・
回されたゴールド色したノブが押され、大きく開かれた扉から姿を覗かせた男を見て、インテグラは口を引き結び再び身体を硬くした。
掛けられていた柔かい毛布をはね退けるように脇に押しやり、背凭れから身体を起こして姿勢を正し、その青の瞳で睨むように、インテグラは開いた扉の先にいる人物を見つめる。
インテグラの青い視線の先にいる巨躯と言っていい男は、その大きな身体を肉食の獣のように音もたてずに優美に室内に入れた。そして扉を閉めると、おもむろに振り返って、ソファから感情を含まぬ冷たい青の視線を注いでいるインテグラを、その長身から睥睨したのだった。
そんなインテグラの青の冷たい視線を受けた男は、整いすぎた白蝋色した面差しの肩頬をわずかに引き上げると、冷え冷えとした残忍そうにも見える嗤いをインテグラに返した。
そして、やはり足音も立てずに捕食者のようにインテグラが座るソファまで歩み寄った男は、脇に置かれていた毛布を邪魔だとばかり床に打ち捨てると、その空いたスペースに――インテグラの隣に、大きい身体を沈みこませ、長い脚を組んで典雅な様子で無言のまま座ったのだった。
つづく
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ようやく旦那が出るところまでいったぜ。
・・・・・・と云うか、旦那がホスト。捕食するにはうってつけな職業じゃまいか?基本、夜の仕事だし(笑)
今時のドラクルの仕事は、ホストが主流なんですよ~~とかw そんなんだったら、普通に原作風味でもネタとして使えるじゃん!!と思った、今日の管理人でした(笑・その内やりそうだが、ロンドンにホストクラブってあんのかな?)
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