管理人、炎天下の中、往路2時間歩いて脳味噌蒸発しております。
そんなカラッポの頭で考えた妄想ですよ~支離滅裂ですよ~タレ流しですよ~
本当は、彼岸企画にちょっとパターンを変えて使おうかと思ったんですが・・・どーうも方向性が微妙(笑)
なんじゃこりゃ~?という突っ込みをしたくなる妄想でもOKよ~と云う方だけ、ご覧くださいm(__)m
然れども 未だ仁ならず(しかれども いまだじんならず)
「――我が主には随分と崇拝者が多いのだな。」
皮肉たっぷりに目を笑ませ、口の端を引き上げた嫌味な笑いを浮かべた吸血鬼が、練習室から出たばかりのインテグラの行く手を赤い城壁のように立ち塞いだ。
「何だ、誉めてるのか、我が従僕?それとも私が羨ましいとでも?」
歳経て貫禄を増した女は最早そんな魔物の戯言にいちいち目くじらを立てることなどない。隻眼をニィっと弧にして笑むと、眼前を塞ぐ自分の従僕をせせら笑いながら見上げたのだった。
麗しいヘルシング卿の後を追って、何やら話をせんと試みた若造が、彼女が出てきた扉から続けて数人出てきたが、結局はその回廊に真昼間から立ちふさがる大いなる緋色の影に、ギクッと足を止める。
「我が主から教示してもらう時間は、とっくに過ぎて居るぞ、人間ども。用が済んだらこの屋敷からさっさと去ね、部外者どもが。」
語気荒くしゃべって居るわけでも、ましてや大声を出して威嚇している訳でもない。
静かな低い声で――それこそ地を這う犬がちょっとばかし欠伸を漏らした程度の、この男にしては穏やかな部類の物言いであったのだが、それでもマチネ色のサングラスを外した魔物が煌々と光る赤目を鋭くして、その異形から響かせた声は、若造共を震え上がらせるのには充分だった。
男たちがヒュッと鋭く息を呑むのと、「んっ、私に用事があるのは誰だ?」とヘルシング卿が振り向くのがほぼ同時だったが、吸血鬼の王様が鋭い乱杭歯の先を見せ付けながら、口の形だけで「去れ」と言ったのを見た男たちは、ヘルシング卿への挨拶もそこそこにすっ飛ぶように出てきたドアへと戻っていったのだった。
「――おい、苛めるなよ。可哀想じゃないか。」
さして可哀想とも思っていない、冷然とした顔つきで女は振り返りざまアーカードに苦情を言う。
「苛めてなどおらんぞ。私はお前を護衛しているだけだ。この屋敷に不要な人間は防衛と護衛を鑑みればさっさと追い出すに限る。」
アーカードは、ニヤリと性悪な微笑の片鱗を見せ、回廊を主人に譲るように身を引いた。
「・・・・・・お前、あれは苛めだぞ。あんまり恐がらせると、夜中、ひとりでトイレに行けなくなるだろう?――それとも私が、歳若いものに慕われるのが癪に障るのか、伯爵?」
インテグラはちょっと首を傾げると、秀麗な顔を性悪な微笑に彩ったアーカードを見上げ、はぁ~と溜息をついた。
「――何故、私がそんなことで癪にさわるのだ。馬鹿馬鹿しい」
わざとらしい女主人の溜息を聞いて大きく鼻を鳴らした従僕を、器用に片眉を上げて見つめたインテグラは、譲られた回廊をゆっくりと歩み始めるのだった。
「指揮系等を委ねられるもの、あるいは人の上に立つ指揮者は、『仁』を最高の徳にせねばならぬそうだぞ、アーカード。」
「―――『仁』だと?」
一体この女は急に何を言うのか?とアーカードは珍しく怪訝な顔をした。
この女は元々化け物の理解の範疇を超えている言動があるのだが、歳を経てさらにその不可解さは如実になっている。
「そう、『仁』だ。まぁ、あれだ。孔門における最高の徳と言うのが『仁』だと説かれているという、そんな訳だ。」
「――孔門・・・・・・論語か。お前は現代の新たなサー・リデルハートでも目指そうとしているのかね?」
そんな事を応えた自分の従僕の勉強熱心さが裏打ちした博識に、インテグラは満足したらしい。
ククッと喉の奥で笑う、艶めいた美しい笑いを漏らした彼女は、そんな彼女の微笑を見て目を細めている半歩後ろの従僕の腕を取ると、「たまには並んで歩こう、アーカード」と言って、回廊を腕を組んで並んで歩きはじめたのだった。
「――なんだこの手は。」
「あまり照れるな従僕。この歳になると、見目麗しい、外見だけは若い男と、たまにこうやって歩くのも愉しいものだよ。――まぁ、お前がどうしても嫌だというならしょうがないなぁ~~こうやって私と並んで歩くのは嫌かね、アーカード?」
「否」と絶対に返事をしない・・・・・・いや、出来ない従僕を分かり切っていて、ヘルシングの女はちょっと小狡い質問をニヤリと笑って問う。
するとアーカードは、そんな強かな女を見下ろして、ちよっとだけ鼻を馴らすと、皮肉気なのに満足そうな微笑の片鱗を口の端にわずかに浮かべたのだった。
「で、『仁』がどうしたと言うのだね、我が主。」
アーカードは、何事も無かったような冷たい声音で主人に問うた。
「そう、その『仁』だがね、アーカード。劣ったものの能力を見極め、「矜む(あわれむ)」心だけでは、人はついて来ないんだよ。それは弱者の立場に身を置いた、切実な慈愛とは違うんだ。言い換えるなら、慈愛とは究極な真心とも言える『仁』そのもの。それはやはり最高の『徳』だ。
そんなものを極めるのは至難なんだろうけど、矜む気持ちでは、やはり上からの目線だけになってしまい、独善に陥りやすいと――だから指導者には『仁』かせないと、そう言うことになるらしい。」
口調は天気の話や世間話をする口調なのに、今、自分の腕を引いている女は、何やら留守であった30年の間に自分が身を削るような思いで学んだことを、話しているらしい・・・・・・と、アーカードは、余計な口を挟まず先を促した。
「それで、我が主?」
「そして自己研鑽を積まないただの『優秀』さは、人を奮起させる力を持ち得ないということなんだ。自己を研鑽し、慈愛をもって、初めて『仁』を得る。そして『仁』を得た『優秀さ』は、人を感化させる力を持ちえる――と。
私が言いたいのはこんなことだ、『伯爵』。」
インテグラは歩みをゆっくりと止めると、下から掬い上げるようにアーカードを見上げ、再び「なぁ、伯爵」と、アーカードを呼んだ。
「信念と信仰と、理念だけではいかんのだ。上に立つものは部隊を率いるのに、高慢や傲慢さも必要だ。だが、傲慢と自分の優秀さと、それを基準にした弱者への矜みでは、誰も命をかけて戦わないということなんだ。
部隊を、軍隊を率いるものには、信念と覚悟と同じくらい、あるいはそれ以上の『仁』がないと、慕われることはないんだよ。」
そう言ったインテグラは、明度を上げたたった一つしか世にない、ブルーダイヤモンドの瞳をひたとアーカードの紅い瞳に据えてから、その瞳を深い大海の青に染めたのだった。
「―――齢六百年になろうという化け物に、随分と高説を垂れられるようになったもんだな、インテグラ。」
片頬を上げニヤリと笑った従僕に、インテグラもニィッと不敵な微笑を返す。
「ああ、そうだろう我が従僕?私だって、30年の間、消えるなと云ったのに消えちまったどこかの馬鹿野郎のせいで、あの馬鹿馬鹿しい騒ぎの後はセラスと寝る間もなく銃後の処理をこなしたんだ。そのお陰で、色いろと研鑽を積むことができたんだからな。
それもこれも、不甲斐なく消えてしまった従僕のお陰だと思えば、お前にはいくら礼を言っても足りんよアーカード。こんなに苦労させてもらったんだから。」
にこやかな笑顔で嫌味をさらりと言った女は、暫しの沈黙の後、再び口を開く。
「――でも・・・・・・こんな風に、若者たちから慕われるようになったとは言え、私も『仁』を最高の徳とするには程遠いんだけどな......」
アーカードに皮肉をたっぷり吐いた後、素直にそんなことをポツリと漏らしたインテグラは、ちょっと首を傾げて従僕を、困ったものだというように苦笑しながら見上げる。
そして、「こんなに長く存在しているのに・・・・・・これほどお前は勉強熱心で優秀だというのに、なのに・・・・・・」
そう言って彼女は艶やかな唇をきゅっと引き結んから、慈悲と悲哀を混ぜた深海の青の目をしてみせた。
「然れども、未だ仁ならず―――だからお前は人間に倒され、倒されるんだ。」
然れども、未だ仁にならず・・・・・・だったら己は滅びるまで、一度たりともそんな徳は得られないだろう。
だからこそ自分はヘルシングの飼い犬で――この女の飼い犬でいられるのだと、吸血鬼は満足そうに笑いながら、再び歩き始めた主人に腕を引かれて、滅びの魅惑を夢想せずにはいられないのだった。
※引用――論語 子張第十九より
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うひょーーーー時間切れで上手く纏められなかった・・・いや、時間があっても難しいんだが・・・
こう云うのは脳がすっからかん~になった時にしか、勇気を出して挑めません。
いずれ本家に収めるときに、もうちょっと要点をまとめ直しますm(__)m
ということで(?)現実逃避。
これからHTML化の残りと推敲やって出来れば明日辺り、パラレルの続きを上げたいです。
頑張れ~~自分!!!
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