本日も、拍手を送って下さった皆様に感謝を!
ありがとうございます♪
ところで、序章的な部分が出来た妄想をここにタレ流し。
ちょっと起承転結の区分を、どーーーしたものかと迷っている妄想。
というか、そもそも、そんな小難しいストーリーを組み立てて、それに沿って書けるのか??と心配な感じの妄想だったりします。
小道具散らばしといて、拾えない、使い切れない・・・そんなヘタレな管理人(涙)
背伸びすんなよ、自分〜〜と云う気がいたします。
まずは、ここに載せてしまえば、スタートせずにはいらんなくなるだろう・・・そんな、己への自戒と決意(えっ?!・・・でも、書ききれなかったら、永久封鎖の予定ですm(__)m)
タイトルは
ビゼーの歌劇「真珠採り」より、『耳に残るは、君の歌声』より拝借。(ジョニー・デップが出るあの映画もこのタイトルですな)
しかし、この曲割と好きなんですが・・・いざ演奏となると話は別。
リズム音痴のワタクシには難易度高い、6/8拍子です・・・
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耳に残るは、君の呼ぶ声 〔仮題〕
「――・・・では、お待ちしております。」
ヘルシング家の当主は、訝しさを含む声でそう締めくくった後、困惑を隠しきれない微妙な表情で、受話器を静かに置いた。
執務机の脇に控えていたウォルターにその困惑した表情を向けると、執事はその珍妙と云っていい顔を作った妙齢の女であるのに、鋼鉄の女と称される自分の主人を見て、安心させるように頷くのだった。
「それで、いつお出かけになる御予定で?」
その問いに女は、眉根を寄せた。
「・・・・・・明日だ、そうだ。夕方、陽が沈みかけた頃には迎えに来るらしい。」
そう言った女指揮官は、はぁ〜〜とこれ見よがしに溜息をついた。
黄昏の時間からがこっちは忙しくなるんだぞ、化け物が跋扈し始める時間に屋敷と機関を空けるなんぞ難しいと言ったのに、いったい何の用事だというのだ――女は、ぶつぶつと暫らく文句を云う。
そして、ふんっと鼻を盛大に鳴らすと、机の葉巻入れから葉巻を一本取り上げて、それを艶やかな厚みを持った唇に咥えた。
その様子を見ていた忠実な老執事は、すかさずその先に火を灯す。
眉根を寄せたまま、深く紫煙を吸い込んだ女に、執事は、明日の夜、指揮官が居ぬ間の訓練と、緊急の要件が持ち上がった時の連絡手段や部隊との合流方法を打ち合わせようと、女主人に言葉をかけるのだった。
別段、急ぎの案件もなかったし、追っているもの、探っているものが居ることはいたが、まだ所在が掴めぬ相手では、殲滅の戦を仕掛けられなかった指揮者の女は、緊急の出動がなければ、割と時間が取れる状態であったのは確かだった。
それにここ1週間近く出動もなく、上げるべき報告書もなかった女は、執務室に挨拶にやってきた従僕とその僕の女に、鷹揚に返事を返し、自分は今夜は外出するから、緊急の要件が上がった場合は、ウォルターの指示に従うようにと、その吸血鬼たちに告げたのだった。
「出掛ける?一体何処に行くというのだ?」
指示には従ってやるが、命令は一切聴かぬ、私に命令を下せるのはお前だけだからなインテグラ――、と口元に皮肉っぽいシワを刻んだアーカードはそう高慢に言い放ったあと、先代と違って夜遊びなどせぬ女に、行き先を尋ねたのだった。
定例の会議とも、軍に配置された武器の視察とも違う用件なのは、女のいつもとは違う不満げな瞳の色合いを見れば明らかだった。
責務で赴く場に、彼女はこんな私情を挟んだ表情を作ることなどないのだから。
「――何処かはわからん、が、まぁ年上の老紳士と夜のデートと云った所だろうな〜〜」
紫煙を従僕の顔がある辺りに、はぁ〜と思いっきり吐き出した女は、手にしていた短くなった葉巻をクリスタルの灰皿に押し付けてもみ消すと、執務机から立ち上がる。
文字通り煙に巻かれた男は、やってられんとばかりに、洒脱に片眉を上げると、緋色の帽子を深くかぶりなおした。
「何処に行くかはわからんが、せいぜい愉しみにすることにしよう。」
そう言った女は普段執務に着るパブリックな衣装を、多少はプライベートらしいものに変えるため、執務室を出て行こうとしたが、ふと思い出したように振り返った。
「そうだ、アーカード。お前、ウィリアム・モリスを枯らすつもりか、この馬鹿が!頭から湯気が出るほど庭師を怒らせるな。血圧だって高いし、いい歳なんだから、あまり興奮させると死んでしまうぞ。」
昨夜、その俯き加減が控え目な印象を与える、アプリコット色したフォーマルな装いのイングランドの貴婦人を散々弄んで多大に散らしたしまったらしい吸血鬼は、不敵な笑いを口元に浮かべる。
「私はあの手の野性味があるのに、壮麗で香り高い、実は控え目で初心な本性を隠し持つ手合いが好きなのでな。だが私が枯らしたのは花だけだ。男の手を容赦なく鋭い棘でさす貴婦人の身体には触れておらんぞ、我が主人。薔薇の木は枯らしておらん。」
フォーマルロゼットと称されるウィリアム・モリスなのに、その大きく張り出す激しい枝振りと葉を豊かに茂らす姿は野性的。壮麗であるのに野性味も持つ、相反するものを持つ薔薇を、この化け物は好いているらしかった。
「ふんっ!別にお前に愛でてもらうつもりで植えてる訳じゃない。私が観賞する前にそれを全部枯らすなということだ!!」
時折、鋼鉄であるのに初心である女主人にちょっかいを出しては、その頬を青ざめさせたり、赤らめさせたりする遊びも好きな吸血鬼に、何やら自分を皮肉られたと気付いた女は、眼鏡の奥の眦をきついものにして、従僕をにらみつけると、チッと誰にも聴こえないくらいの舌打ちをして、踵を返す。
「ああ婦警、お前は別によいから。薔薇の数本枯らしても、お前には誰も文句は言わん。お前は自分の主人と違って、ちゃあんと分別をわきまえているからな。」
とんびが鷹を産むこともあるものなのだな。無分別で傲岸不遜な主人から、こんなに分別があって物分りもいい、やさしい気性の娘が生まれるとは、私も驚きだ――そんな従僕への皮肉を言いながら、陽がマチネ色から茶色い赤みを含んだゼラニウムレッドの色合いに移り行く中、プラチナゴールドの毛先を揺らして、彼女は吸血鬼たちの前を大股で勇むように横切っていく。
そして扉のノブに手をかけた女は、ふんっと鼻を鳴らして、肩を怒らせると、大股で部屋を出て行ったのだった。
その行軍のような勇ましい姿を黙って見つめていた女吸血鬼は、
「インテグラさまったら、あれじゃデートじゃなくて決闘にでも行くような勢いですよねぇ・・・」と、
自分に背を向け、肩を竦めながらその後姿を見送った、本来は畏怖すべきであるマスターへと、ぼそっと呟くのだった。
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