ついついうっかりと妄想を・・・(校正の逃避とか謂わないで〜〜w)
ウゥ〜〜〜うわぁら めろんまん♪と、何故か「ウォーター メロンマン」を口ずさみながらうっかりと綴った妄想です。たぶん下に載せたのは、その全長の1/4くらい・・・・の予定かと。
・・・・全部書いたらきっと30KB越えるだろうな〜〜と思いつつ、続きは今週中、塵話か小話に載せます。
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媒介者
その大きい身体には、些か小さ過ぎるソファにだらしなく寝そべったようにして血液パックを啜っていた男を、眉を顰めて眺めていた歳若い主人は、これ見よがしに「ハァ〜〜」と溜息を吐き出した。
だが、そのため息が吐きだされた先に居た当の本人――いや、「人」ではないが――は、サングラスの奥の目を細めただけで、またふてぶてしく、チューチューとストローから血液を啜るのだった。
どう見ても、只だらしなく寝そべっているだけなのに、この男の姿はやっぱりあくまでも優雅な域に留まっている。
この吸血鬼は、眉を器用に跳ね上げても、肩を竦めても、足を組み替えても、そのどれもが様になるほど典雅で、その中に退廃を香らせる仄い(くらい)ものを隠しているのだ。
その姿は、「気品ある振る舞いを!」「洗練された身のこなしを!」と、屋敷に古くから居る女中頭から、いつも耳にタコが出来るほど小言を喰らうインテグラにとって、ある意味とても羨むべき資質であった。
――元々、東欧の公国の主だしな、コイツは。それに洗練された身のこなしの方が、女を漁るのにはうってつけだろうし・・・そっか〜〜その好色さが、色事師としての洗練された身のこなしに繋がってるのかっ!!
少女が己を見ながら何かしら考えているらしいとは分かっていたが、まさかそんな不躾なことを想像していようとは、アーカードは知らなかった。
だが、何を思おうと、主の視線を独り占めできるというのは気持ちが好いと、化け物は無表情な顔つきだった口元に、微かに微笑めいたものを作る。
端整な男が薄く微笑んだ顔を見ていた少女は、やはりこの男はその笑顔で好みの処女を漁っては文字通り食い散らかし、その食指に反応すれば老若男女の関係なく、全ての人間を平らげて来たのだろうと、青玉の瞳を夕陽が差し込む執務室で少し細めた。
――こう云う退廃的な夜の雰囲気を醸しだすのが、女を引っ掛けるコツなのかな?あんまり開けっぴろげに大らかな男よりは、「何かありそう」という妖しい雰囲気に女は弱いんだろうか??
自分も女でもあるのだが、まだ少女と云っていい歳であったし、もともとそう言う男女の恋愛感情や、学校の級友たちが繰り広げる恋バナにも縁遠い少女には、そんなことは全く理解不能だった。そんなものはただただ想像するのみなのだ。
そして元来、初心で鈍感で男心を全く解さない少女は、化け物の魔眼にも魔声にも、誑かせれることはない。何故かは知らぬが、それがこの家の名を告ぐものの資質らしいのだ。
魔性の魅力を鉄壁の防御で撥ねつける、その鋼の処女(おとめ)に、見た目以上に手を焼いているのは、実は今、目の前でチューチューと血液をすする吸血鬼なのだった。
執務室の扉を、少女をからかう目的でノックして、返事を待ってから扉をスルスルとすり抜けてきた化け物に、「こらアーカード!!お前は私を愚弄しているのか?普通、ノックをしたら、手で扉を開けて入ってくるものだ、この礼儀知らずの吸血鬼!」と、小言を吐き出させたアーカードは、少女の感情が色とりどりに変遷していく様子が愉しくて堪らないのだ。
少女を怒らせて愉しんだ後、その姿を盗み見ながら黄昏てゆく黄金色の空の匂いを嗅ぎながら味わう食事は、今まで以上になく美味に感じると、男はいつも思う。
それが例え、味気ない血液パックだったとしてもだ。
香り高い芳香と血潮、そして魅惑的な鼓動を打ち鳴らす心の臓。それを持つ主人の側で食事をするだけで、その味わいは格別になるのだと、男は近頃気がついたのだった。
ソファに寝そべるように食事をする、そんな化け物を見た執事は、アーカードにだけ分かるように、片眉を吊り上げた不快な表情を作る。
先代が健在のころは、そうそうこの執務室のソファで食事などする化け物ではなかったのだ。なのにこの少女を主と仰いでからの一年は、この部屋で食事をするのが常になっている。
そんなお前の化け物じみた思惑なぞ分かってるのだぞと言わんばかりの顔をして、不敵な牽制の笑いを口元に浮かべて見せたウォルターは、一瞬で元の忠実な執事の顔を取り繕うと、インテグラへと届いたばかりの書類を手渡したのだった。
この少女をどうにかして誑かして手に抱きたかったが、当の本人が鋼鉄で出来ていると言っても過言ではない上に、脇にへばりついている執事も曲者で食わせ者。
いくら齢(よわい)五百有余年を経た化け物でも、なかなか事を順調には運べないというものだ。
何とか誑かしてやろう、手玉にとって主人の名を持つ少女を嬲って遊んでやろうと当初は考えていた化け物だったが、ヘルシングが生み出した成果とも言うべき今の風変わりな当主に、どっぷりハマって捕らえられたのは実は自分の方だったと、近頃この化け物は気がついていた。
あからさまに牽制の目つきで自分を眺めた執事に、ふんっと軽く鼻を鳴らした化け物は、マチネ色したサングラスの奥で赤の瞳を細める。
交わした契約は確かに効力を発していたし、拘束制御術式も主人がそれを解くことによって力として発揮できるのはその通りだった。が、それ以上にこの幼い女主人に不死者の王と呼ばれた己が捕らえられたのだと気づいた化け物は、ちょっと前まで憤懣やるかたない思いを胸に抱いていたものだったが、今はすでにその状況を愉しんでいる感があった。
決して斬ることが出来ない、見えない銀色の細い戒めの鎖が、主従の間に常に横たわっていて、その絆は単なる主従のものとは違う異質でいびつなのに強固なものだった。
そして何しろ、この全てに飽いた化け物を、強烈な磁力で惹きつける少女が、化け物は愛おしくて堪らないのだ。・・・まぁ、それは人間の思慕や愛情とはかなり趣が異なるものではあったのだが。
少女が、書類を手に執務室に入ってきた執事に気を取られ、自分から視線と思考を離してしまったことに、一瞬苛立ちを覚えた化け物だったが、そんな素振りは露ほども覘かせず、また静かにチューチューと血液を啜り始めるのだった。
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