お嬢と隊長の幕間的な話。
今回は「結」に向かう前の、一服タイムであります。色々と妄想を膨らませる展開を書いて見よう~と言う試みなんですが・・・それを先に活かせる力量は完全に不足しておりますw
許容できるお心の広い方のみ、お読み下さいませm(__)m
【ご注意】
・お題は「アーグラでホストパロ 18禁」です。
・格好いいお嬢さまや旦那が出てくる話には、到底、なりそうにもありません。
・完全なるパロディです。ヘルシングの内容からは大きく外れております。
以上をご了解の方のみ、「続きはコチラ」をクリックしてお読み下さい。
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クロイツェル・ソナタ その10
父親ほどの酒豪ではないので、飲めば程々に酔うインテグラだったが、その夜は何故か頭の芯が冴えていて、酔ったと言うには程遠い感じだった。
いや・・・・・・この状態で酔えば、それこそ悪酔いだっただろう。
会議室で今夜、彼女の身に起きた出来事は、その心の片隅に仄暗い何かを棲まわせる影を生み出していた。
冷えた空気に浸された夜霧は肌をチリチリと刺激する冷たさを伴って、コートのポケットに手を突っ込んで路上に立っているインテグラの頬を嬲る。長く冷たい黄金色した髪も夜露を含み重く湿って、うねる海草のように彼女の身体にまとわりついていた。
そんな彼女の湿った長い髪を、薄墨のような雲の切れ間から時折姿を覗かせるディアナと、白々しい路上の街路灯が、黄金そのもののように煌びやかに照らし出す。
インテグラは、誰もが褒めそやす月の雫を垂らしたような麗しい黄金色した髪を無造作に掻き上げると、眉根を寄せた難しい顔をして、まだ葉を豊かに茂らせている街路樹の天辺のあたりを睨むように見つめていた。
――あの男の日常の行動をもう一度念入りに、些細を見逃さず見張るべきだろうな・・・・・・
そう結論を出したインテグラは、今度はそれとまた違った、自分が直面した問題に頭を悩ませていたのだった。
そんな嗜好は、世に普通にあるものなのだろうか?
あるいはもしかしたら――女を単なる金づるとしか思ってないこの業界の男たちが「相手」として選ぶのは、異性よりも同性なのか?あるいは、それは普通に・・・・・・日常的にあることで、別段驚くような話ではないのだろうか?
そしてあの男は、やはり本気であんな事を・・・・・・男に対してそんな行為をする気なんだろうか?
そんな事を考えた彼女は、その質問を隣に立っていた男に素直にぶつけてみた。
すると、その質問を耳にしたベルナドットは顎を落とさんばかりの驚愕の表情を作って、インテグラの顔をマジマジと覗き込んだのだった。
「はぁ?!――――この業界は、男同士でセックスするのかだってぇ~~?!
・・・・・・なぁ、インテグラ。お前ってそう言う趣味だったのか?―――いや、すまん、怒るなって。・・・・・・あれか?もしかしたら今日、あの後、旦那から迫られたとか、何かされたのか?―――んんっ?まあ、顔を見りゃ分かるが、言いずらいなら言わんでもいいさ。
・・・・・・まあ、そう言うやつは居ない訳じゃないし、そんなに珍しくもないだろうよ。でもなぁ、旦那みたいなのは多分稀だと思うぞ。あの人はあれだ―――多分、男が好きとか女が好きとかじゃなくって、『人間』が好きなんだよ。多分・・・・・・だけど。」
送ってくれるというベルナドットの言葉に甘えて、迎えの車を一緒に待っていたインテグラに、そう言ったベルナドットは、ふうっと一息つくと紙巻の煙草に火をつけた。
「人の話の輪には一切加わらんし何考えてんのか分からんし、しゃべらねぇから素性も歳もわからねぇ。この業界の暗黙の紀律なんかもクソ喰らえって感じだが、成績もトップだし、その上恐ろしく強いから、誰も何にも言えねぇ。問題児とかそんな表現では済まされねぇ御仁だよ、旦那は。
ただこう、強くって気高いようなヤツは好きみたいで、そう言うヤツには一目置くようだ。それは老若男女関係無くな。・・・・・・まぁ、そんな人間なんて滅多に居ないもんだけど。でもなぁ、インテグラ。多分、お前さんはそう言う人種だ。そんな匂いがする。」
ベルナドットは深く煙草を吸うと、紫煙を夜空に吐き出した。
「だからお前さんは、旦那から気に入られたんだろうな・・・・・・
王様に寵愛されるのは後ろ盾も出来るし、成績も取れるから悪くはねぇと思うけど――でもなぁ、多分、気に入られただけでは済まなかったんだろうよ。
気に入った中でも『欲しい』と思う相手は、それこそ砂漠の砂の中から落としたダイヤを探し当てるような確率なんだと思うぜ、あの人の場合は。そしてその分、『欲しい』と思ったものは、確実に余すことなく全てを手にしたいんだ、ああ言う王様のような御仁はな。だからだ――――」
浅く煙草を吸ってすぐに吐き出したベルナドットは心底哀れむ顔をインテグラに見せ、彼女の両肩に自分の両手をガシッと乗せた。
「―――だから覚悟した方がいいぞ、インテグラ!あんな風に普段は冷徹、冷酷でそんな欲望の片鱗も見せないヤツに限ってむっつり助平であっちの方は執拗なもんだ。ニヤけた助平顔をしないヤツの方が色々溜め込んでて、きっと際限ねぇんだと思うぞ?!
それに俺は経験ないが、すげぇーー痛いらしい!最初は冗談抜きで裂けるらしいぞ、あの時は。旦那はあれだけガタイがデカいんだ、どう考えたってそれに見合ったモンが付いてると思うぜ、俺はッ!
だからなぁ、『もうダメだ、危ういっ!!』ってなったら、無駄な抵抗はしないで、大人しくヤラれっちまった方がいいと思う。お前の力では抵抗なんて無理だ。華奢な身体が壊されないよう、優しく扱ってもらったほうがいい、絶対に!」
珍しく真顔で――真剣な口調でそう忠告したベルナドットに、インテグラは目を見開いて血の気を引いた蒼白な顔をした。
「お前って、喧嘩は弱くなさそうだけど華奢だろ?骨格細いだろ?そんなんで抵抗したら、壊されるぞ、絶対に。
だってどう見たって旦那は筋金入りのサディストだ。嗜虐性向の性癖を持つヤツは、変に刺激しないほうがいい。
縛られた上に口にボールギャグ咥えさせられて、ムチであちこち打たれて、その上アソコが裂けたりしたら、目も当てられねぇだろ、なっ?!だからこれは俺からの忠告な!なっ?!」
蜂蜜色した顔から血の気を引き、その顔を青白い街灯に照らされたインテグラの顔色は、哀惜を携えた幽鬼のようだった。
「――うッ......」
言葉を詰まらせて呻いたインテグラは、口に手を宛てて俯いた。何か具体的な想像をしたのだろう。
そんな新入りの同僚を見て、安っぽい街灯に照らされても気高い黄金色を放つ髪に目を細めた隊長は、はぁ~と気の毒そうな溜息を漏らした。
「お前さん、女ならよかったのにな。だったらまだ、救いようはあるのになぁ~」
隊長のその言葉にインテグラは青白い顔を上げる。
「―――女だと、救いようがある?」
インテグラの問いにベルナドットは当然という顔をした。
「そりゃそうさ、だって子供を産むんだぜ、あそこっから!まぁ、あまり想像したかねぇけど。だったら大丈夫だろうさ、きっと。――――あっ、でも旦那相手に初めてだったら、もしかしたら裂け......いやいやいや、そりゃあ~~かなり痛いとは思うけど、裂けて血まみれっうのはないと思うぜ。」
その言葉に何故かすごく複雑な表情をしてみたせ新入りに、ベルナドットは「へっ?」と云う顔をした。
苦悶と不安と怖れと怒りと・・・・・・そんなものを混ぜ込んだ何とも言えぬ顔をして隊長を見上げるインテグラに、ちょうどベルナドットを迎えに来た恋人の車のサーチライトが当たる。
「おっ、迎えだ。―――あっ、それからなインテグラ。マクスウェルには気をつけろ。あの男は蛇のように執念深いし。それにお前に対してなんかこう、何とも言えない・・・・・・まぁ、だからあらゆる意味で気をつけろってことだ、旦那同様に。」
そう言ったベルナドットに、インテグラは首を傾げてみせる。
何故かと言えば帰り際、ハインケルから全く逆のことを言われたからだ。
「あのなぁ、インテグラ。マクスウェルはああ言う天邪鬼な性格だからしょうがないけど、別段、お前さんを毛嫌いしてる訳じゃない。嫌ってないと言うよりは、私から見れば、むしろ好意的なように思う。だから突っかかって、自ら争いの原因を作っちゃダメだ、インテグラ。彼は反抗的な態度や見下げられた態度には激しい敵意で応じてしまう性分なんだから。
だから君が突っかかりさえしなければ、そこそこな関係が上手く構築できると思うよ。」
いや・・・・・・むしろいつも因縁をつけて突っかかってくるのはあっちの方だが――とハインケルに言いかけて、インテグラは口を噤んだ。
何しろ今回、足をくじいたらしいマクスゥエルの手当てをして、その取り成しをしてくれたのはハインケルなのだから。
「インテグラ、君よりマクスウェルの方が痛手が大きかったよ。だから今回はこの場を上手く収めるために、彼の顔を立てて、君が謝罪すべきだと私は思う。」
そう言われたインテグラは、明日、怪我を負わせたことについて、あの男に謝らなければ――と考えていた所だったのだ。
ベルナドットから気をつけろと忠告されたインテグラは眉間にシワを刻みながら、その夜は隊長が手招きする車へと乗り込んで、冷えて湿ったロンドンの夜の帰路についたのだった。
つづく
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今回は短めで。
次回からは広げた風呂敷を畳み始める作業に・・・入れ・・・れば、いいなぁ~とw
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